現代版「東京ラブストーリー」が予想以上の仕上がりだったことへの驚き
1991年、オリジナルの「東京ラブストーリー」が放送されていた頃は”月曜日の夜は街からOLが消える”と言われていたくらい、みんな月9にハマっていた時代。
私自身リアルタイムでも観ていたけれど、数年前「ひかりTV」で一挙放送をやっていたので録画して久しぶりに全編観直してみた。鈴木保奈美の赤名リカ、織田裕二のカンチ、江口洋介の三上、有森也実の関口さとみ・・・。そうそう、こんな感じだったー。懐かしさと甘酸っぱさ(笑)。
さとみが強烈に悪者のようなイメージにさせられていたけれど、改めて見直してみると登場人物それぞれ恋愛に関しては下手くそな人たちだったのねーと思う。あの華やかでバブリーな時代背景があったからこそ、ある種ドロドロの恋愛模様を楽しんで観られたのかもしれない。いずれにしても、心に残る名作には違いない。
そのドラマをリメイクするというニュースを観て、そりゃ無理なんじゃない?と感じたのは私だけではないはずだ。「東京ラブストーリー」というドラマの中での「赤名リカ」という登場人物を演じられるのは鈴木保奈美以外にいないんじゃないか?オリジナル版を観たことがある人はそう感じる人が大半なのではないかと思う。
自分の気持ちのままに突っ走って周りを巻き込み、正直支離滅裂。関わったら振り回されて相当自分を消耗してしまうであろう魔性の女。でも、あのくったくのない笑顔で全てがチャラになってしまうという不思議な魅力。
演技力というよりは、赤名リカ=鈴木保奈美という存在感は凄かった。
現代版が地上波で放送されるというのであまり期待せずに観てみたところ、これが予想以上の仕上がりで正直驚いた。その大きな要因は、赤名リカ演じる石橋静河と、難役さとみ演じる石井杏奈、女性陣2人の演技に因るところが大きいかもしれない。
三上役の清原翔は江口洋介より繊細さが出ていて、こちらの方が本来の三上に近いのかもしれないという印象。カンチ役の伊藤健太郎は、織田裕二よりも幼い雰囲気なので、少し男らしさが足りないのかも。
石橋静河という女優は昨年の「この恋あたためますか」というドラマで演技力あるいい女優さんだなーという印象だったけれど、赤名リカのイメージと結びつかなったのでどんな演技をするのか一番気になっていた。
で、観ての感想。へー、こういう赤名リカ像もあるんだなー。
どうしても鈴木保奈美の「カンチー!」というあの独特の声が頭に浮かんでしまうけれど、石橋静河の声は低めで、支離滅裂な言動はするものの全体的に落ち着いた雰囲気。そして、笑顔の破壊力は抜群だ。別物の赤名リカがそこにいた。これはこれでアリなんだなー。
有森也実のさとみは、甘ったるい感じだったけれど、石井杏奈のさとみの方が少しクールな印象。三上にますます振り回されるこれからがどうなっていくのか?がまだ読めないところがあるので、これからの展開を見守りたい。
人気ドラマのリメイクは結構失敗する確率も高いけれど、29年の時を経た上での現代版「東京ラブストーリー」は、リアルタイムで観た人間も、全く新しいドラマとして観る人間も、どちらもきちんと楽しめる恋愛ドラマに仕上がっていると思う。
最近は恋愛ドラマは”キュン”がないとヒットしないらしいけれど、落ち着いた恋愛ドラマもたまにはいいものだと思う。