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脂質脳科学のこれから

先週の週末も拙配信オフィスより講演。宮城大学の西川正純先生が主催された日本脂質栄養学会第29回の特別講演にお声がけ頂きました。

今年はもともとはオリンピックイヤーだったので、東京を避けて仙台で開催される学会が多数予定されていました(拙NPBPPP2020もその1つ)。COVID-19のせいでオリンピックは中止、さらに現地開催もウェブに切り替わったところが多く本当に残念です。しかも、学内施設を使う予定であった学会もあり、残念だなぁ……と思っています。この学会も本当はこちらの東北大学附属図書館農学分館エリアのラーニングコモンズなどが会場になるはずでした。

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今回のトークでは、ちょうど20年前に東北大学に着任してから行ってきた研究テーマの中の「脂質脳科学」の部分の集大成のような形でお話させて頂いたこと、とても思い出になりました。

脂質の中でも、私たちが研究してきたのは「不飽和脂肪酸」という仲間で、ドコサヘキサエン酸(DHA)やアラキドン酸(ARA)などがその代表です。これらが足りなかったり、あるいは摂取に偏りがあると、その影響が子どもの世代にも表れることを、マウスを使って示した一連の研究は、東北大学理学部から医学修士、医学履修課程(博士課程)と進んだ酒寄信幸さんの力が大きかったです。

ちょうど、8月末に酒寄さんが広島大学に異動する前の、福島医大で行った研究成果が最新論文となったところだったので、そのこともスライド1枚で伝えました。広島大学からのプレスリリースが動画にもなっているので、どうぞ御覧ください。

この元になっている研究発表はこちら。母親のオメガ6摂取過多により仔マウスの脳構築以上や、不安の増加などが生じるというもの。下記は日英で行ったプレスリリース。

発表した雑誌Stem CellsでVideo Abstractに選んで頂きました。

生体において脂質は非常に大事ですが、先に研究が進んだのは心臓脈管系で、脳が非常に脂質に富むにも関わらず、神経科学での脂質研究は遅れています。

酒寄さんの最新の成果は、母親のオメガ6摂取過多により、仔マウスの脳でドパミン産生細胞が増えることが、高エネルギー餌摂取の嗜好性を増加させ、結果として肥満に繋がるというものですが、肥満の原因として、自分にはどうにもならない神経系の問題がアディクションとして表れている可能性もあるのではないか、と考えられると思います。

私自身は脳の進化と脂質の利用などのテーマも非常に面白いのではと考える次第です。

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