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ジェンダー論公開講座「男性にとってのジェンダー問題」【イベントレポ】

さまざまな社会課題をジェンダー視点で読み解く「ジェンダー論講座」。今回は「男らしさ」「女らしさ」について考える講座を実施しました。

講師は、社会学・ジェンダー研究が専門の、大阪公立大学大学院文学研究科准教授 平山 亮(ひらやま りょう)さん。


それってほんとうに「男だから」「女だから」?

講座の様子

講座では、過去に放送された「白い巨塔」や「大奥」などのドラマを例に、「男らしさ」「女らしさ」について参加者のみなさんと考えました。

どちらのドラマも「男性あるある」「女性あるある」が描かれているとされていますが、実際に描かれているのは同じ「権力争い」。
「『女は感情的だ』と言われるけれど、それって本当…?」という問いかけも。


「男って、そういうもの」と言われる特徴ひとつをとっても、矛盾が見えてきます。

  • 男性は気遣いができないと言われるけれど、営業の仕事では相手へのこまやかな気遣いや心配りができている

  • 男性は誰かに頼ることが苦手だと言われるけれど、ご飯も用意してもらっているしパンツも靴下も洗ってもらっている

「私たちは、実際に起こっていることを『男ってこういうもの』『女ってこういうもの』というイメージに当てはまるように見ています」と平山さん。
そのイメージは、周りにいる人の言動からも影響を受けています。

「男性が育児をしないのは、働く時間が長すぎるから」と言われていることに対して、「仕事の時間が減っても育児にかける時間が長くなるわけではない」という興味深いデータも紹介されました。

参加者の感想

  • 実際に起きた行動を、事実としてではなく、私たちが既に持っているフィルターを通して判断しているのかもしれないと気付かされた

  • 「性役割」を逃げ道にしたり、自分に都合良く理解しないように気を付けたい

  • 「あるある」的な見方をしてしまうことはよくあるが、それを疑うことから始めてみたいと思う

  • 多角的な視点を持つ機会があまりに少ないと感じる

  • 社会を少しずつ変えていくには、一つのところに責任を押し付けないことが大切だと感じた

本当は矛盾していることでも「そういうものだから」と私たちがみなすことで社会は回ってしまい、変わらないまま維持されてしまいます。
「男って…」「女って…」と言いたくなるとき。
「ほんとうにすべての男性/女性がそうだろうか?」と一度立ち止まって考えてみませんか?

講座で紹介されたデータや文献は、1月に出版された平山先生の著書『男性学基本論文集』に掲載されています。これまでの著書はエル・ソーラ仙台でも借りることができます。あわせてご覧ください。