見出し画像

仙台駅前の青葉通社会実験 若い世代ほど好意的

2022年秋、仙台駅前の青葉通で行われた社会実験。駅正面の目抜き通りで片側3車線を規制し、市民の憩いや交流の場として「開放する」試みは多くの注目を集めた。市がこのほどまとめた検証結果によると、若い世代がより好意的に捉える傾向が明らかになったという。



車道をにぎわい空間に変えた社会実験

[青葉通の社会実験] 昨年9月20日~10月13日早朝、青葉通の駅前通交差点―愛宕上杉通交差点の区間約150メートルで一般車両の通行を規制。南側4車線のうち商業施設EDEN(エデン)寄り2車線を芝生広場とし、体験イベントの開催、ストリートピアノの設置などでにぎわい空間を創出した。隣の車線は自転車専用、残る1車線はバスやタクシーの通行帯とした。区間内のバス停は北側の旧さくら野百貨店仙台店側などに移した。

『河北新報オンライン』2023年5月6日 6:00
昼夜にわたり、多くの市民が思い思いの時間を過ごしていた。

記事でも強調されている通り、課題の一つは渋滞対策である。バスやタクシーなど、駅前に乗り入れる必然性のある事業者から、改善を求める意見が出るのは当たり前のことと思う。

だが、本当の課題は「渋滞」そのものなのだろうか?とも感じる。確かに、「車道を減らされる」ことに対して、仙台市民の拒否感は根強いものがある。自家用車の分担率が高く、都心部に交通需要が集中しがちな都市構造ゆえ、ただでさえ悩まされている渋滞にはもう懲り懲りなのだ。私もドライバーの一人として、ただ渋滞がひどくなるだけの施策には同意しかねる。

…ということを踏まえて、である。仮に完璧な渋滞対策を施したとしても、市民は車道空間を再分配することに心から同意するのだろうか?

思うに、最大の課題は、実現したい未来をより明確な線で描くことではないか?
正直なところ、今はまだ、車道を明け渡して手に入る未来がぼんやりしており、ほとんどの市民の心を動かせていないように感じる。

若い世代は好意的だったのであれば、とりあえず、社会実験の先に目指す方向性については「良さそうだ」と思う。あとは、明るい未来に皆をどんどん巻き込んでいってほしい。社会実験の期間中、駅前の表情は確かに明るく変わったのである。その効用に比べれば、万が一、愛宕上杉通から広瀬通への右折待ちが長引いたとしても「まあいいか」と思えるはずだ。

青葉通の社会実験については、ぜひこちらもご一読願いたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?