犬と千田のナイトルーティン
久しぶりに犬のことについて書く。
「ナイトルーティン」などと仰々しく(それも絶妙に賞味期限切れの言葉を)題したが、さして大それたものではなく要するにこれは犬と僕が毎日機械的に繰り返す些事だと先に伝えておきたい。
犬を家に迎えて3年目になる。生まれて初めて飼う犬だ。犬を招き入れる前日、成人男性には似つかわしくないほど心躍り浮き足立っていたのを覚えている。あまりに嬉しくて涙を浮かべて踊った。心身ともにブギウギだった。犬との幸せな日々の妄想が止まらない。無い記憶、無い思い出、果てはまだ無い悲しみまでもが脳から滲み出てくる。
しかし残念ながら、犬との生活は実に単調だった。
四コマ漫画みたいな毎日を期待していたが、そこにあるのはオチのない毎日の連続だ。決まった時間に、決まった世話を焼く。犬は礼のひとつも言わず、いつも決まって呆けた顔をこちらを見せるだけである。
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