Piece (Part 1/2)
ある夜、近所を歩いていたら右足で何かを蹴った。
石にしては軽かったような感触だったが、石のように見えるそれが転がるのを追った。拾って確かめるように顔を近づけると、石の微かな割れ目の奥から淡い緑色の光線が漏れた。同時に温かくもなったような気がした。光ったのはほんの一瞬だったが、それだけで未知なる物を手にした心のざわつきを鎮めて穏やかにしてくれた。
親指くらいの小さな石を軽く握って、また歩き出した。
しばらく持っていると、また温かくなった。今度は確実に感じ取ることが出来て、すぐさま手の平を皿にして、石を目の前に持ってきた。
緑、黄緑、黄色か、今度はすぐに消えなかった淡い光の色を見分けようとした。やがて、視界の端に映る天体の異変に気がついた。
これは月の欠片なのだと一目で確信した。月は欠けて歪な形になっている。
それでも月明かりは優しい、僕はこの欠片の意味をひたすら考えながら歩いて公園のベンチで腰を下ろした。
もう一度見上げてみても月は欠けたまま。僕の手にある欠片はあれから光ることなく静かにしている。
結局何も分からず終いで眠りについた。
あれから何年も経つ。僕は誰かにこの石を見せても他人の目には映らないことを知った。そして月が欠けて見えるのも僕だけだと言われるのだった。
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こんな世界とのズレを感じながら僕は生き続けるのだろうか。いっそのこと、落とした言葉と一緒に溶けて消えてしまいたいと思うこともある。
僕は心を現す言葉を愛する代わりに、言葉を弄ぶ輩を忌み嫌うようになった。
本当なら、多分何も感じなければ楽だったに違いない。もう何もかも。僕は僕自身に言葉を選ばされて生き続けている。
僕の言っていることは、解らない奴には一生かかっても解らないだろう。
SNSで何かを偉そうに言うなんてことは僕の良識に免じて遠慮していたけど、ここで一時的にやめようと思う。
ただ、ひとつ断っておくと、特定の誰かを指している訳じゃない。都会のガード下で僕がくだ巻いていると思ってお読み下さい。
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エッセイを書くなら、まず自身で納得のいく言葉を使って下さい。
それでお金を稼ごうとしているのでなければ、自分に嘘をついたようなことを書いて人を惑わすのはやめて下さい。
自分本位を忘れて、他人に媚びた文章はやめて下さい。
言葉を忘れて馴れ合うことが目的なら、もう文章表現うんたらとか自称するのはやめて下さい。
うん。素面でこれだから、僕は大変生きにくい。