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Piece (Part 2/2)

Part 1はこちら

月の欠片を拾ってから、誰から言われるでもなく自分の何気ない言動について猛省した。

人の表情や感情を慮る能力(意思)が増大して、自分の言葉が発したタイミングや選ばれた単語の適切性を考えた。

これまで人を意図せず不快にさせていたこと、悲しませていたこと、怒らせていたこと、喜ばせていたこと。

これらの因果律を悟ったかのような・・・・・・少し大袈裟に思われるかもしれないが、欠片を手にする前後で僕は全く違っていた。

でも、それが解ったからといって完全な人間になれるわけでもなかった。

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「想像力が増したなら誰も傷つけまい、そして皆を喜ばすだろう」

理想論先生による広場のスピーチを聴いて、生徒の一人であるアイデンティティという高飛車な彼が鼻で笑った。彼は広場から離れた、出口につながる通路の壁にもたれかかっていた。

「ならば問うが、人は自身以外の人のために貢献するために生を受けたのだろうか」

彼が最も得意とする業、曲解である。続けて、

「物分かりの良さがそんなにも重要なのだろうか。想像力を使って他人への迎合をテーゼとするのは間違っている」

彼が二番目に得意とする業、飛躍である。

それでも、広場にいた他の参加者たちには何らかの影響があったようだ。良心、悪意、慈愛、友愛、憎悪、安心、興奮、尊敬、孤独、悲哀、憂鬱、失望、嫉妬、屈辱、参加者はまだまだいる。

中には二人のやり取りを寝ていて聴いていなかった者もいるかもしれないが、確かに全員がこの場にいる。

彼らは口々に意見を述べた。誰が誰に対して発信しているのか、それを聴く者はいるのか。カオスそのものと言って良いほどになった。

理想論先生は、呆れてその場にあった椅子に力なく座り込んだ。アイデンティティは高見の見物をしている。彼はやがて不適な笑みを浮かべた。

(これでいい。俺たちは、悩み続ければ良い。生きることは悩むことだ)

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こんな話があろうがなかろうが、僕は悩み続けている。しかし十年前に気がついた。僕は好きで悩んでいる。

それはもはや、「悩む性癖(原文まま)」と呼べる域なのだと十七歳にして自認した。

今日も夜空の月を見上げた。月は相変わらず欠けているが、あれから新たに分かったこともある。

この欠片はあまりに小さいのだ、月が歪な形に見えるには。即ち、他にも欠片を手にした人が必ずいるのだということ。

僕がnoteを続ける理由。

それは・・・・・・、

みなまで言わずとも、この辺でよしなに。

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