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僕の心は、僕よりきっと笑ってる
気がつかなかった。
僕が小学生の頃、晴れた日に教室で授業を受けているとき。明るかった室内が迫るように暗くなったことを不思議に思った。
みんながプリントの問題に取り組むなかで、僕だけが顔を上げて辺りを見回してた。
なぜだろう。
地震が起こった時、米軍の飛行機が通過した時なら、みんな授業を中断するのに。
僕は21歳になってようやく気がついた。教室が暗くなったのは、太陽が流れる雲に隠れたからだって。
これは発見だ。
僕はこの発見に感動したことを親友に話したら、「意外にそういうこと知らなかったりするよね」
そうだったんだ。一体誰が教えてくれたのだろう。幼稚園、小学校・・・・・・僕が休んだ日なのかな。
話は変わって。
お風呂上がりや、お酒を飲んだ時、僕は鼻の頭がかゆくてたまらなかった。僕は鼻炎持ちだからきっとそれに関連した何かだろうと思い込んで、そのかゆさと時々喧嘩した日もあった。
ある日、彼女に鼻のかゆみを打ち明けると、彼女は当たり前のように僕にかゆみ止めの存在を教えてくれた。
かゆみ止めを塗った瞬間、鼻の頭のかゆみはいとも簡単にどこかへ帰ってしまった。
解放感を味わう僕を見た彼女も、かつての親友がしたような顔で僕を眺めていた。
僕は頭が痛いときには痛み止めを飲むし、鼻水がひどいときには抗アレルギー薬を飲む。
それでも、わからなかったことがあって、僕は何年も経ってようやく簡単なことに気がつく。
大抵の疑問はグーグルで解決出来るけど、
僕ひとりが心で笑うためには、そんな回りくどいことしなくていいんだ。
これからも、気がつかなかったことに気がついて、そのたび、うれしい。
今日は、それに、気がついた。