僕たち呪われた種族
後一歩、うしろへ引いたら、この崖から落ちる。
強い風や、石つぶてや、ヤリも降ったし、業火にも焼かれた、
服も無く、靴も無く、血と膿と涙を流しながら、どろどろの体になって、
それでもまだ焼かれ続けて、
一歩一歩、うしろへ、うしろへ下がって、逃げながら、ここまで来たけれど、
もう、後一歩で死ぬ。
僕たち呪われた種族。
そんな生き方しかできない、生まれてはならぬ存在。
・・・ああ、ここが地獄の窯の淵なんだ。
なんて熱く、なんて痛く、なんて苦しいんだろう。
もう、落ちて死んでしまえばいいじゃないか。
そう、思い続けて来た。
10歳の頃から、ずっと・・・
夜の校舎の屋上に立ち、
雨のぬかるんだ崖の上に立ち、
ベランダの細い柵の上に立ち、
そう思い続けて来た。
後一歩。。。
だけど、まだだ。
まだ生きている。
この身が激痛に粉砕されるまで、まだ生きている。
僕たち呪われた種族が、歩む道を、生きる道を、
わずかでも踏み固めるため、まだ、もがき苦しまなければならない。
僕たち呪われた種族が、一秒でも息がつけるよう、
泥の中で足掻かねばならない。
戦わなければならない。ブザマに泣きながら、わめきながら。
そういう呪いを持って、この世に這い出てしまったのだから。