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アンドロイド転生181

2111年9月
白水村:里の出入り口

「じゃあ、行ってくる」
タカオとアキラ。そしてアリスはリュックを背負って手を振った。キリ達に見送られ下山した。麓に行くと保管小屋の車に乗って新宿を目指す。

約2時間半後。新宿に到着した。都内の街並みは緑が生い茂り、どこも円柱形の白いドーム型の建物群。静謐さを醸し出していた。そのある一角の建物の駐車場で車を停めて3人は外に出た。

平家カフェ。カウンターには中年の男性がいた。店主だ。通常、人間は経営にまわりアンドロイドが調理をするが、ここでは人間自らが食事を作る。そんなコアな店には根強いファンがいた。

表向きはカフェの店主だが実はホームとアンダーグラウンドを繋ぐ仲介人だった。バイヤーと言う。タカオ達と同じ平家の落人の子孫である。つまり親戚だ。彼らの結束力は強い。

店はまだ開店前である。店主が微笑んだ。
「よう!良い天気だな」
タカオも笑う。
「おう。良いドライブ日和だ」

「おい…!タカオ達が来たぞ」
店主は振り向いてキッチンに声をかけた。中から青年が出てきて笑顔を見せた。店主の1人息子で名はリツと言う。タカオとアキラは頷いた。

リツはアリスを見た。
「今日も沢山あるぞー。来いよ」
「うん」
2人は2階に上がって行った。

リツとアリスはダンボールを持って車に運ぶ。中には服や子供の玩具。菓子や日用品、薬品が詰まっていた。こうやってホームの人間は必要な物を手に入れるのだ。

リツとアリスが店と車を往復している間に、タカオとアキラはテーブルに着いてタケル達が奪ってきた絵画やダイヤモンド数十個を出した。タカオが絵画を拡げると店主がルーペでチェックする。

キッチンの中から店主の妻が出てきた。
「いらっしゃい」
彼女はアキラから受け取ったダイヤモンドをルーペを使って同じように確認した。

口元には微笑みが浮かぶ。
「カラー、輝き、透明度、重さ。どれも素晴らしいわ。一級品ね」
アキラは満足そうに頷いた。

店主は舐めるように絵画を隈なく確認した後、顔を上げ瞳を煌めかせた。
「本物だ」
店主は絵画を丁寧に丸めると筒に仕舞った。

タカオは顔をアリスに向けた。荷物の搬入を終え、椅子に座っていたアリスは立ち上がった。店主はニッコリと微笑むと彼女の頸にケーブルを挿し込み、タブレットを起動した。

たちまちアリスのメモリに新たなターゲットの情報がインストールされた。これをアンドロイド達が共有するのだ。アリスはニッコリとする。
「また楽勝ね」

リツがタブレットを手にした。
「アキラさん。前回の分ね。振り込むよ」
アキラはタブレットを起動させるとスイスの口座のペイを確認した。莫大な数字が表示される。

これがホームの資金になるのだ。だが半分は匿名で第3国に寄付をする。全てが終わると店主がコーヒーを淹れた。タカオ達はその芳醇な香りと苦味を楽しむ。アリスは水だ。

他愛もない話をして時間を過ごす。11時になり店が開くと、ポツポツと客がやってくる。タカオ達は帰ると言って立ち上がった。店主家族は手を振って見送った。また来月同じ事を繰り返す。

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