迎え火の照らす先(短編小説)
「千華(ちか)ー」
「やっほ、大輝(たいき)」
校門の端に立って、次々と帰って行く生徒たちの集団を横目で見送っていた千華は、聞こえた声に勢いよく振り返る。比較的長身の茶髪男子が、千華に向かって手を振っているのが目に入った。
「待った?」
「えっと、ちょっとだけ」
「ごめんごめん。上野のやつがさ、漫画の新刊について猛烈に語り出して放してくれねえの。まじあいつオタクかっての。なあ?」
そんな、ほとほと勘弁といった様子で両手を挙げて肩をすくめる大輝が何だかおかしくて、千華は思わ