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浮気
先日、とんでもない事を知った。
お菓子の「カール」が関西では販売しているからネットで注文すれば、また食べれると言う事を聞いた。
私がこの数年間食べれなかった「カール」は関西の人たちには食べられていたのだ。
それはまるで遠距離恋愛してた恋人が遠距離先で浮気をしていたことを知ったくらいの衝撃。
そしてすぐに注文した、24個入りのカールを。
届くまでの数日はそわそわしていた。
遠距離だったら恋人が久々に帰ってくるんだもん、浮気の一つや二つくらいは許してあげよう、私はなんて優しいんだろうか。
はやく君に会いたい。
注文してから5日後に「カール」は届いた。
正直に言うと届いた時には忘れていた。
少し私を待たせ過ぎだと思う。
久しぶりの関東の地で迷子になったのか寄り道をしたのか。
でもその分、嬉しさは倍増。
サプライズ好きな恋人が好まれる理由を思い知った。
段ボールを開けると懐かしいあのイラストが描かれていた。
そして袋を開けた途端に香ってきたチーズの匂い。
昔付き合っていた恋人の香水よりもいい香りがする。
間違いない、君が帰ってきた。
子供の頃にお菓子をたくさんたくさん買っていっぱい食べることが夢だった。
今、私の目の前に「カール」が24個。
けれど、2つ目を食べ終わる頃には私のキラキラした目はいつも通りに戻っていた。
小さい頃の夢は今確実に目の前にある。
でも思っていたのとは何かが違う。
もっと幸せな気持ちになると思っていた。
もしかしたら、小さい頃の夢は小さい頃に叶えないといけないのかもしれない。
夢の消費期限が切れてしまっていたのだ。
お菓子は1日1つまで。
だからその選ばれた1つのお菓子は本当に美味しかったし、大切に食べた。
ゲームは2時間まで。
ボスを倒すまでの制限時間よりも母親が怒るまでの制限時間が怖かった。
でも、ずっとゲームしてたかったから、夜中に布団の中でこっそりやるゲームは本当に楽しかった。
あれ、じゃあ自分はいつ大人になってしまっていたのだろうか。
3つ目のカールを食べながら考えた。
卒業証書をもらったとき、違う。
お酒を初めて飲んだ時、違う。
大好きなあの人に抱かれた時、違う。
文章を書くなら、大人になるのはこういう時なのだ、と私なりの答えをこの流れで書くのが物書きなのだろうけど、未完成なまま答えが出てないまま、書いてみた。
みんなはいつ大人になったんですか。
私は3つ目のカールを食べながら少し考えてみる。
ちょうど食べ終わるときに、ふと思いついた。
大人になるのは、夢を叶えるか、夢を諦めた時。
そう思いついた時、無意識に4つ目のカールを開けていた。
24個はちょっと買いすぎたな。