sena

25歳。読んだ本や映画の感想について駄文を重ねていこうと思います。

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25歳。読んだ本や映画の感想について駄文を重ねていこうと思います。

最近の記事

[書評]ものづくり興亡記 著:日本経済新聞社

概要 本書は日本の経済成長を担ってきたものづくり産業において、「失われた30年」つまりは敗戦時代を生きた企業の挑戦の歴史を振り返る。 取り扱っている企業はいずれも大企業であり、 今治造船、三菱重工業、日本製鉄、シャープ、日立金属、本田技術研究所 と名だたる面々が連なる。 本書の特徴として、会社だけでなく拠点ごとの取材も豊富である点が挙げられる。 たとえば三菱重工業の中でも愛知県にある「名航」と呼ばれる開発現場に焦点を当て、悲願の国産旅客機MRJの開発計画がなぜ失敗したのか

    • [書評]アカデミアを離れてみたら--博士、道なき道を行く

      本書は博士号を取得した後、大学の学術界を離れた方々が今何を感じ、どう生きているのか、その21人の人生の道のりを共有させていただく書である。 本書に登場する人物は例えば、 ・ポスドク生活11年を経た後、38歳という若くはない年齢で民間企業に転職をした方 ・大阪大学の准教授という恵まれた地位を離れて、アメリカの大手半導体製造装置会社に転職をし方 ・東京大学大学院で博士号を取得後、食品会社で商品開発職を経て、現在は日本の最果て・対馬で島おこしに携わっている方 が挙げられ、他にも官

      • [書評] 経済評論家の父から息子への手紙  著:山崎元

        概要 本書は2024年1月に永眠された経済評論家山崎元さんが、大学へ入学する息子へあてた手紙を基盤とし、それをより幅広い若者たちへと内容を届けてくれた1冊である。 主たる内容は ①昭和時代とは異なる、現代での働き方とお金の稼ぎ方 ②お金の増やし方と資本主義経済の仕組み ③働き方のコツや山崎さん流の小さな幸福論 が紹介されている。 ①株式と上手く関われ! まず現代での働き方において時間の切り売りを行う昭和型の働き方ではなく、株式の報酬を上手に取り入れることで効率よく資産

        • [書評] ナチスは「良いこと」もしたのか? 著:小野寺拓也、田野大輔

          はじめに 本書は悪の権化とされるアドルフ・ヒトラー率いるナチスについて、実行した政策について着目すれば、実は「良いこと」もしていたのではないか?という現代に生きる人々が持つ疑問に回答する書籍である。 ↑実際、本書の著者である田野さんが旧Twitterで投稿した上記のツイートには賛否両論が巻き起こっている。 ここで最も重要になってくるのがある問題に対して 「事実」「解釈」「意見」の三層構造で捉えることの重要性である。 確かにヒトラーが行った政策として ①アウトバーン建設

        • [書評]ものづくり興亡記 著:日本経済新聞社

        • [書評]アカデミアを離れてみたら--博士、道なき道を行く

        • [書評] 経済評論家の父から息子への手紙  著:山崎元

        • [書評] ナチスは「良いこと」もしたのか? 著:小野寺拓也、田野大輔

          [書評] 人口戦略法案 人口減少を止める方策はあるのか 著:山崎史郎

          近年、少子高齢化が進み人口減少が問題となっている。例えば社会保障費増大による現役世代の負担増加や物流界においては2024年問題が生じたりと日本が抱えるあらゆる課題に人口問題は深く密接している。 本書はそんな人口減少に対する認識を共有し、対策案を打ち出すべく、元厚生労働省出身で介護保険の立案や若者雇用対策、少子化対策、地方創成などに携わった山崎史郎さんによる小説仕立ての本である。小説であるため登場人物やストーリーはフィクションであるが、人口をめぐる歴史や現状、将来推計、結婚・

          [書評] 人口戦略法案 人口減少を止める方策はあるのか 著:山崎史郎

          感想「シビル・ウォー アメリカ最後の日」

          私が生まれたアメリカにおける分断を扱ったテーマとして以前から見たいと思っていた本作品をIMAX劇場で鑑賞。A24が史上最大の製作費で撮影したとされる本映画は是非ともIMAXで体感していただきたい。 (以下ネタバレあり) 「あなたが目撃するのはフィクションか、明日の現実か?」 あらすじとしてはテキサス・カリフォルニア同盟からなる西部勢力と政府軍との内戦が発生しているアメリカを舞台とし、トランプ大統領を明らかに彷彿とさせる独裁的な大統領への取材を試みるため、ジャーナリストチ

          感想「シビル・ウォー アメリカ最後の日」

          [書評] 資本主義の中心で、資本主義を変える 著:清水大吾

          概要 本書は京都大学を卒業した後に、新卒で日経証券に入社、そして2007年にゴールドマンサックス証券に入社し、16年勤務した清水大吾さんによる著書だ。資本主義に対して我々が出来る適切な関わりかたを提示することで、長期的に見た社会課題を解決できる資本主義にしていきたいという著者の熱意が伝わる一冊であった。 ゴールドマンサックスといえば言わずとしれた外資系金融の王者であり、そこで16年勤務して部長まで昇格された著者はまさに資本主義の中心にいた人物である。しかし、資本主義とよく

          [書評] 資本主義の中心で、資本主義を変える 著:清水大吾

          [書評] 英語ヒエラルキー 著:佐々木テレサ

          本書はEMIプログラム(母語が英語でない地域で英語を教えるプログラム)を大学で受講した学生たちのその後について語られている。 一般的にこのようなEMI教育については英語力が向上する、多様な価値観に触れることが出来るなど良い点ばかりが目に付くが、本書ではEMI教育を受けた後の留学、そして社会人生活までを含めたある程度の時間スパンをもった評価を行っている点が異なる。 対象となる学生は早稲田大学の4名の学生+筆者の合計5名を対象としており、対象者は少ないもののインタビュー形式で

          [書評] 英語ヒエラルキー 著:佐々木テレサ