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無自覚の発達障害は、本人も周囲も疲弊する
この度、半年前に入ってきた年上の女性が契約を更新されなかったらしい。
彼女、仮に花子さんとして、彼女はどうも普通とは違うな、という点が多かった。
彼女に私の業務の手伝いをしてもらうことになり、教育をしていたときのこと。
①Aについて説明
②続いて、Bについて説明
③最後に、A、BがOKであればCの作業で完了
これを、やっていた……の、だが。
実際には
①Aについて説明
している最中にDのことが気になって質問される
→Dについて答え……ているうちに、Aについて質問される
ので、Aの説明をなんとか終える。
次に、②Bについて説明
している最中にAについて、斜めからの質問(なぜそう考えるのか理解不能)がくる。
仕方ないのでそれについて考えて答えている
のに!
今度は、AとBを足してこんがらがっていると言われる……
分かるだろうか?
終始、こんな調子で何時間も何時間も教育に時間がかかる。
しかし、どれも身になっていない。
それはそうだ、花子さんは『質問をする』ことに夢中で、何の業務か、どういう流れかを理解せず、メモも一切取らないのだ。
何度も「メモをしないと」と言ったのだが、
一向にしない。
ので、私が図を書きながら説明しても
全く別の話をする、言い訳をするという有り様で
毎日毎日、彼女の教育時間分、数時間の残業が続いた。
言い訳も凄い、
「私、計算とかが苦手で……」
苦手と分かっていながら、克服しようとすらしないので呆れてしまった。
ついには、リーダーたちの会議で私の業務は彼女に任せないようにしよう、と決定した。
私が提案した訳ではなく、見かねたリーダーたちの決断だったが、花子さんが落ち込まないようにと、余計な気を回してしまい
「花子さん、色々仕事があるらしいですからね」
と言ったら
「そうなんです。私、忙しいんです」
と、自信満々に言われてしまった……。
つ、強い……!
席は近くても、私の業務は特殊で、花子さんのメインの業務なんてほぼ知らない。
しかし、花子さんは何でも私に聞けばいいやと
思っているらしく、とにかく何でも聞いてきた。
聞かれている以上、答えなくてはと頑張るのだが、聞いておいて話があっち行ったり、こっち行ったりで、何を聞かれているのか分からない。
花子さんが何を聞いているかを聞き出す作業中(←これは無駄だと思うの……)
「私はこうやったんですが!」
と、何故かちょっとキレられたこともあり
「え、なんですか? 私はあなたに謝ればいいんですか?」
と言ったら、違いますと苦笑い。
10割方、花子さんの不注意による見落としなのだが、本人は特に気にする様子もなく。
花子さんは、自分で考えることが苦手で、マルチタスク必須の会社で、マルチタスクが一番苦手のようだ。
花子さんより後に教育した人は、スイスイと同じ業務をこなし、質問に答えると「ありがとうございます」と返してくれ、短文でも理解してくれる。
花子さんは、見逃され続けたADHDなのかもしれない。
ドジっ子、天然、は中年女性にも通じるのだろうか。
派遣会社が、花子さんのレベルに合った仕事を紹介できていなかった(これが実は一番大切!)
というのもあるのだろうが、
それにしても……
何と言うか、強い。
絶対に自分の能力が劣っているとは考えないのも、強い。
本人は困っていない、または今回契約を打ち切られて初めて困ったのかもしれないが、
私や周囲はだいぶ困っていた。
私が自分の派遣会社に相談すると、花子さんは別の派遣会社なのでクレームを入れるべきです!
と、憤慨した様子で担当者に言われてしまった。
クレームとまで言いたくなかったので、とりあえず上司に実例を見せて相談し、今後私に何でも聞かないように言ってもらった。。
しかし、数日前。
2時間は前に帰ったはずの花子さんが凄い勢いで私が着替えている最中に更衣室にやって来て、契約更新されなかった話をして帰ろうとする私を何回も引き留めた。
納得していない様子で(2時間も話していりゃ納得はしてないか……)慰めて欲しかったのかもしれないけれど、私にはそんなことは出来やしなかった。
というか、たまたま同僚の子と一緒になったので、3人で一緒に帰りながら旅行の話ばかりしてしまった。
「じゃあ、私、車こっちなんで」
花子さんが、そそくさと去って行った。
「ああ! ごめんなさい、旅行の話ばかりしてー」
と声を掛けたが、正直、助かった。
私は、花子さんを傷付けてしまうだろう。
なぜ努力をしないのか、なぜ自分で考えようとしないのか、なぜ苦手だと分かっていながらヘラヘラするばかりなのか。
私は、努力せず愚痴ばかりの母親も大嫌いだった。
失敗すれば、他人や物事のせいにする。
そんなところが似ていて、胸糞が悪い。
花子さんとは、同僚にも友人にもなれなかった。
本人が幸せならば、それでいいけど……
無知は罪。
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