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記憶の記録
もうすっかり涼しくなってしまって、じりじりと街を焼いていた太陽も今はぼんわりと夏の終わりの予告するだけになってしまった。
特に渇望するわけでもなく、季節外れになる前に救出した冷凍庫のアイスをかじっている。
こうしたちっぽけな日々のタスクをこなすだけで精一杯なのに、何かを残そうだなんて、または生み出そうなんて傲慢なのかもしれない。
そうだった、思い出した、わたしはごく普通の平凡な人間だったのだ。
緩んだ口元からアイスで白く濁った唾液が垂れて、慌てて拭き取る。なんだかとてもふしだらな気持ち。太陽は雲の隙間からゆらゆらと濃淡のオレンジ色を見せている。見てるよ、と言っているみたい。意地悪で、それでいて優しい。
頭の中にぎっしり詰まった言葉をなんとか解いて、もう一度整列させなければならない。それは余白なく並べられた本棚から一冊を引き出す時のように、間引きしてしまえば取り出しやすい。どこに手をつけようか。
これはなんてことない、記憶の記録。
あるところでは、わたしは存在しているけど、あるところでは、いない人。見つけてくれて、ありがとう。いつか消えちゃう君へ。
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