NAGAのシビれる一打〜25日目〜
この記事は
【麻雀】NAGA牌譜研究 Advent Calendar 2021 - Adventar
の25日目の記事です。
メリークリスマス!🎄
今日でいよいよ最終回ですね。今年も最後まで走り切ることができました!
それでは行きます!
今日の何切る
こちらの牌譜から出題。
最後らしくSuphxとの一戦を選びました。
南三局。南家。31100点持ちトップ目です。
上の牌姿から何切りますか?
赤5m
6p
1s
8s
候補はこれくらいでしょうか?
サクッと正解発表です。
NAGAの選択は1sでした。
一番広いのは当然赤5mですが、タンヤオや七対子などの可能性を考慮して1s切りが良さそうです。
その後…
あっという間に二副露して一向聴です。
はい、というわけで…
今日のテーマは「喰いタン」です。
喰いタンでどこまで攻めるべきなのか?
NAGAとしてはラス前でこの点数状況、
1000点でもいいから、さっさと流して有利な状況でオーラスを迎えよう
ということでしょう。
この後の打ちまわしを見てみましょう。
上家のSuphxから打4p。チーすればカン5p待ちです。
さて…これは鳴くor鳴かない?
正解はスルー。そして、このシーン。
同じく上家から打7s。ポンすればテンパイです。
スルー
ポンして3-6p待ち
ポンして赤5m単騎待ち
さて…NAGAの選択は!?
答え合わせ
正解は7sポンの打赤5mでした。
ここまで来ればもはやノーガードです。ソーズはほとんど使えない状況なので、ピンズ・マンズの危険度が爆あがりしてます。トップという立場からすると、やや行き過ぎな気もしますね。
NAGAくんも「鳴きすぎたぜぇ…」と思ってそうですが、実際のところどうなのでしょう?
圧倒的にポン寄りでした!
人間だと弱気になってしまいそうな局面ですが、鉄強麻雀AIがここまで推奨しているのです。明日から自信を持ってポンと言いましょう!
最新のNAGAの評価を見てみる
つい先日のことですが、NAGAの新しいTypeがリリースされました。
この局の進行を最新のNAGA視点で振り返ってみましょう。
まずはスピード・攻撃重視のオメガ型。
4pが打たれたシーン。そこまで大きく鳴き推奨ではないのでスルーもありかと思われます。オメガ型も方針としては喰いタンで全力で親を蹴りに行くという方針らしいです。
次はメンゼン重厚・守備型のガンマ型。
ガンマ型は5sの時点でスルー寄り。ガンマ型は面前重視の守備型らしいのですが、確かにそのようですね。期待順位も1.49と少しネガティブな評価になっています。
ガンマ型はスルー寄りですが、オメガ型はかなりアグレッシブに喰いタンを進めるようでした。
天鳳的にはガンマ型の方が安定しそうですが、トップ率重視なら「喰いタン一直線」ということですね。
先手必勝
NAGAやSuphxの大きな強みとして「相手のテンパイ速度を正確に予測できる」点が挙げられます。相手のテンパイ速度が読めると押し引きの基準が明確になりますね。
具体的には
スリム化・ヤミテンケアのタイミングがわかる
どこまで鳴き進めるか、リーチすべきかどうかがわかる
などが挙げられます。スリム化やリーチ判断はまさに麻雀AIの特徴となる部分です。こうした麻雀AIの打牌選択を支えているのが、テンパイ速度読みなのです。
三副露時の相手のテンパイ確率はどうだったかというと…
他家のテンパイ確率の評価は全体的に低めでした。NAGAは「今なら先手を取れる」と判断したのでしょう。
リアル麻雀なら相手の打牌速度や力の入り方からなんとなーくテンパイ速度が読めることもありますが、NAGAは膨大な数のゲームから学習しているので人間よりも圧倒的に精密でしょう。今回のような「のみキック」の鳴き判断はかなり信頼できるのではないでしょうか?
ちなみに結果は…
こういうのに放銃するとめちゃくちゃウゼェ…ってなりますよね。
Suphxとしては「やられたな…」という感じでしょう。
初日に紹介した牌譜と比べると、互角に渡り合っているように見えます。相手のテンパイ速度を読み切って、一瞬の隙をついてノミ手で躱す。剣豪同士の斬り合いのような一局でした。
NAGAとSuphx。今はあまり活動していませんが、これから先もバチバチに戦い続けて欲しいですね。
おわりに
今回も無事に25日間投稿することができました。
Suphxはなかなか理解できない深淵な一打が多かったのに対し、NAGAは解析レポートがあるため結構あっさりした記事が多くなってしまった気がします。それでもいろんな知見は得られたし…うーん、まぁこんなもんか。
NAGAの牌譜解析を通してなんとなくわかったことをまとめておきましょう。
序盤の進行は信頼できるが、終盤はたまに怪しい
国士無双などレアな事象に対してはノーケア
役アリ満貫はダマテンに構えがち
一向聴からは結構押すが、二向聴からはほとんど押さない
書いてみると当たり前のことばかりですね。
人間はうっかりミスをしますが、AIがミスすることはほとんどありません。今の麻雀AIの強さはこうした「エラー率の低さ」による部分が大きいと思います。NAGAの牌譜を見ていると本当に平凡で”奇怪な一打”というのはあまりありませんでした。(バグっぽい挙動はありましたが)
現在の天鳳の特上卓では”ミスなく”打っていれば、いつしか十段に到達できるということなのでしょう。ま、それが人間にとっては難しいのですが…
去年のアドベントカレンダーの25日目でこんなことを書きました。
今見ると何だかエモいことを書いてますね。その気持ちは今も変わっていません。麻雀AIの研究が進めば、麻雀のセオリーや戦術はより普遍的なものになるでしょう。麻雀歴十数年のオジサン目線で牌譜研究を行ってきましたが、これが後世の役に立てれば幸いです。
そういう意味でもNAGAの麻雀界への貢献はとても大きいと思っています。特上卓での数万半荘もの牌譜データは宝の山です。牌譜解析機能や個室への呼び出し機能なども今後の麻雀研究を大きく変えるでしょう。まさに”高速道路”です。先月からダイアモンド会員として応援していますが、応援の意味も込めて今後もしばらく課金してもいいかなと思っています。ポイントくっそ余ってるけど、まぁヨシ!
ちょうど先日ガンマ版がリリースされたようにNAGAは今でも進化を続けています。僕のNAGA研究もここで終わりではなく、いろんな改善点や課題を見つけて行きたいと思います。完全体NAGAが出来たらいつの日か麻雀AIチームで天鳳名人戦とか参加して欲しいですね。何とか実現しないかな…。
来年も何かしらアドベントカレンダーやりたいですね。その頃にはまた新たな麻雀AIが現れているかも…?
それではみなさん今年もありがとうございました。
来年もよろしくお願いします!
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