Suphxのシビれる一打〜22日目〜
この記事は
【麻雀】Suphx牌譜研究 Advent Calendar 2020 - Adventar
の22日目の記事です。
今日の何切る
こちらの牌譜から出題
1st:べぱす(+50), 2nd:ぐりっそむ(+16), 3rd:ⓝSuphx(-9), 4th:うるるさらら(-57) http://tenhou.net/0/?log=2020071820gm-0009-10011-7d11aab6&tw=2 …
東2局、南家。
親に3アシストを決めながらも、自身の手もテンパイ。
ちなみに親の鳴き手順は…
東ポン→打4m
7mポン→打7p
9mポン→打6m
マンズ染めや対々和などが見えて、いずれにしても大物手の雰囲気です。
Suphxは何を切る?
※テンパイを取る場合はリーチ判断も込みで考えてみてください。
答え合わせ
Suphxは8p切りリーチを選択!
「え?普通じゃね」と思った方は「よっぽどの強者」か「フリテンに気づかずリーチ打っちゃうタイプの雀士」だと思います。
問題のシーンでは8pを切った場合、5-8sがフリテンになっています。
それにも関わらず、Suphxは全面戦争フリテンリーチをかけました。
今回はフリテンリーチについて考えてみます。
フリテンリーチをかける理由
人はなぜフリテンリーチをかけるのか?考えてみましょう。
・待ちが広い(ツモが伸びて3メンチャンになった)
・打点が見込める
・山に残っていそう
・条件が出来た(アガリ形からのフリテンリーチ)
何の条件もなければ、フリテンリーチはよく見かけます。
今回は親がイカツイ3副露の仕掛けです。この状態でリーチをかけても、親は間違いなくゼンツ、他家は全面降伏ベタオリという結末が目に見えています。
実質親と自分の一対一勝負です。そう考えるとフリテンリーチはかなり不利なように思えますが…
Suphxさんこれマジですか…?
まずはトイトイが本線
フリテンリーチの理由を読み解くために、まずはSuphxの打牌の意図を考えてみます。
今回、親の手はマンズのホンイツ以上に対々和が本線と考えられます。(結果的にホンイツもトイトイもどちらも正解なのですが…)
少し巡目を戻してみるとSuphxの思考がわかります。
ここで打6p。
5p切りなら広いイーシャンテンに取れますが、5pは生牌です。親の手出しを見ると6p→7pとなっているので、一応5pが残っている手順もありそうです。※個人的にはあんまりないと思うけど
親の4m切りからの7mポンはものすごくトイトイ本線に見えるので、この判断は妥当だと思います。
ピンズかソーズか?
次巡のツモは6sです。
自分の手が少し輝き出したので、ここは何としてもアガりたいところですが…
5pも6sも…生牌…
6sは自分の目から2枚見えなので放銃率は低そうですが…どうせ切るなら受けの広い方がいいでしょう。
ということで5pの方をプッシュします。
そして問題のシーン
テンパイに取るとしたら6sか8pですね。それぞれ比較してみます。
■6s切り
場をよく見ると4sは三枚切れ、7sは自分で二枚。よって、4-7sは最大でも残り3枚です。手役はリーチ・表・赤で5200スタートです。6sは生牌なので放銃リスクもあります。
■8p切り
自分で一枚8sを切っているだけで、残りは全く見えていません。枚数だけなら残り6枚です。手役もリーチ・平和・表・赤の7700スタートで一盃口も付けば跳満まで見えます。8pは自分に暗刻なので放銃リスクも低いです。
フリテンというデメリットを考えても8p切りの方が魅力的ですね。
もちろん、8p切りのとりあえずダマも有力だと思います。
残りのヤマ枚数に注目する
今回のようにテンパイ濃厚の相手に対してリーチで勝負をかけるシーンは実戦でもよく出てきます。
その際に考えるポイントは残りのヤマ枚数です。
今回の場合は25枚ですね。親が(トイトイだと仮定して)シャボや単騎待ちだったとしても、待ち枚数なんてMAX4枚です。楽観的に考えれば、残り2枚くらいと思っていいでしょう。
こちらの5-8sも最大残り6枚ですが、大体4枚くらい残っていると仮定して比較してみます。※面倒なので王牌は考慮しません。
・ツモ山残り25枚のうち5-8sが4枚 → 16%(4/25)
・ツモ山残り25枚のうち親の待ちが2枚 → 8%(2/25)
相手の待ちを持ってくる確率が大体8%なのに対して、自分がツモる確率は16%くらいありそうです。お、これは勝てるのでは…?残りツモ回数が少なければ流局で終わる可能性も高いので、放銃することはそんなに無さそうです。
これがもし一段目で残りヤマ枚数が50枚くらいだったとしたら…
・ツモ山残り50枚のうち5-8sが4枚 → 8%(4/50)
・ツモ山残り50枚のうち親の待ちが2枚 → 4%(2/50)
相手の待ちを持ってくるのは4%で、自分の待ちは8%…まぁまぁいい勝負な気がします。序盤での捲りあい勝負は大抵どちらかが死ぬことになります。
何だか難しくなってしまいましたが、要するに「終盤で自分の待ちに自信があれば、相手への放銃はあまり考えなくていい」ということです。
たとえカンチャンだろうが、ペンチャンだろうが、フリテンだろうが…自分の待ちに自信があれば積極的に勝負すべきです。
今回のような場合は、相手への放銃リスクよりも自手に対するリーチ価値が圧倒的に大きいです。放銃なんて気にせずに、リーチの旨味を逃さないようにしたいですね。
ちなみに結果を見てみると…
対面のAさんが1mを放銃。「南」と「1m」なら親のスジにもなっている1mという判断でしょう。これは仕方ないか…
結果論ですが、他のどのソーズよりも5-8sが山に残っていたのは確かです。そして放銃を気にせずにフリテンリーチ。Suphxの判断は正しかったと思います。
もし放銃がなければSuphxは一発で8sをツモっていました。
ここで強気にフリテンリーチに行けるのが強者の選択なのでしょう。特に祝儀麻雀ではこの心構えが重要です。
それではまた明日。
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