見出し画像

Suphxのシビれる一打〜14日目〜

この記事は

【麻雀】Suphx牌譜研究 Advent Calendar 2020 - Adventar

の14日目の記事です。


今日の何切る

こちらの牌譜から出題

1st:ⓝSuphx(+49), 2nd:かっしー(+15), 3rd:◯akochan(-14), 4th:‐メシア‐(-50) http://tenhou.net/0/?log=2020071221gm-0009-10011-34f2126d&tw=1


画像1

東3局、二本場。Suphxは二着。

上家に仕掛けが入っている。(3mポン→打2m)

対面の南家が飛び寸前で、上家も親マンガンで飛ぶ。

ここは何としても親を流したい場面だが、その親からリーチの声が。

一発目で安パイはない…

さて、何を切ればいい…?


答え合わせ


画像2


嘘…だろ…


サンゾー…!?

Suphxはここで驚異の3s切りを選択。3-6sはドラスジなのでぱっと見は危険に見えます。

ほとんどの人は以下のどれかを選んだのではないでしょうか?

ゼンツ! →  7p
4mスジ → 7m
3mが薄くて9mが切られている → 6m

僕は7m→6mと切りそうです。

Suphxはなぜソーズに手をかけたのか?

今回はこの謎に迫ります。

麻雀AIに18分の1理論はない

人間なら「まだ通ってないスジは沢山ある!ソイヤ!」といった感じで無スジを押すことはあります。18分の1理論というやつですね。

わからない人は「黒ひげ危機一発」を思い出しましょう。

画像3

麻雀のスジは全部で18本です。今回親リーチで通ってるスジは6本。黒ひげ的に考えれば「穴が18個あって剣が6本刺さっている状態」ですね。

マンズ:1-4/4-7/6-9 3本
ピンズ:なし
ソーズ:1-4/2-5/6-9 3本

無スジの7pを切ってもアタる確率は12分の1です。何となく行けそうな気がしますね。

ですが、 AIであるSuphxに18分の1理論はありません。必ず安全度や牌効率をベースにした評価値によって最善手を判断しているはずです。Suphxが真っ直ぐ7pを切らずに3sを切ったのには必ず理由があります。

正直なところ明確な根拠はわかりませんが、可能な限りその理由を考えてみましょう。

中盤での1・9牌の手出し

まず手始めにリーチ者の河を見てみましょう。

リーチの直前に9s→9mと手出ししています。

こういう中盤での1・9手出しはある程度パターン化出来ます。9sの手出しのパターンを挙げてみましょう。

■愚形整理

カンチャン、ペンチャンの整理ですね。

画像4

画像5

画像6

■複合形の整理

・ノベタン/亜リャンメンの整理

画像7

画像8

・ペンチャン/カンチャン/リャンメン受け外し

画像9

画像10

画像11

画像12

■スライド

6sをツモって9sと入れ替えるヤツです。

画像13

他にも安パイ確保や手役変化(三色や一気通貫)の可能性もありますね。

今回の場合、全員の河をよく見れば、9s手出しの理由は何となく分かります。

8sが薄くなったからです。

カン8受けを嫌ったと考えるのが自然ですね。


今回のソーズの牌のマトリクスはこんな感じです。

画像14


これを踏まえて「3-6s待ち」かつ「カン8sを嫌った」ような形を考えてみましょう…


①暗刻固定の9s切り

画像15

7s残り3枚が全て親の手牌に入っているのが前提になります。確率的にあまりなさそうです。

②5sを持ってきてスライド

画像16

5s残り1枚を持ってくるのが前提です。これも確率的にあまりなさそうです。


これくらい…ですか?

いずれにしても、9s手出しとソーズの残り枚数の情報から考えれば、実は3sが当たる可能性はそこまで高くないように思えてきました。

もちろん普通に以下の形から切った可能性もあるので、安全とは言い切れませんが。

画像17



一方、マンズはどうでしょうか?

画像18

9m→4mの順でパターン化は流石に難しいですが、どちらも関連牌だったとすると…

画像19

画像20

パッと思いつくのはこんな感じでしょうか。特に一個目の奴はよく引っかかるんだよなぁ。

ソーズと比べて、4~8mの残り枚数にはかなり余裕があります。特に8mは場に全く見えてないので親の手にある可能性は高いです。

9s→9mの手順から言っても、9mの方が手牌への関連度が高そうです。裏を返せば危険度もソーズよりマンズの方が高いと考えられるでしょう。

マンズの危険度を察知してソーズに手をかけたSuphx。すげぇ…


上家の9mが怪しい?


ちなみに結果論だけど…

画像21

7mは上家の放銃牌。

親リーチも9mを残して4m→8mと切っていれば7mでアガリの世界線もあったはずです。

ここで一瞬「上家の手出し9mをケアしたのでは?」と思うかもしれませんが、流石に考えすぎか…

親の現物だしそこまで不自然ではないですね。

結果論ですが、親リーチに対してマンズを警戒したのが功を奏して、ダマテン回避出来たと見るべきでしょう。


余談

この局は赤5切りのタイミングも面白かったです。

※本当はこちらを出題しようとしました。

画像22

2-5sが残り4枚なので、【4p引き/5p縦引き/6p引き】などを考えて打4sの方がいい気がします。ですが、Suphxはここで赤5pをリリースしました。

親が9s手出しの後の場面です。もしかしたらこの時点で「ソーズの危険度が低い」ことに気づいていた?後々ピンズを切るのは危険なので、ここで形を決めておきたかったんでしょうか。

僕は守備的な先切りっぽい一打に見えますが、みなさんどう思いますか?


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?