カレーが皆を笑顔にする それだけでいいじゃない『つながるカレー』【読書ログ#115】
『つながるカレー コミュニケーションを「味わう」場所をつくる』(加藤 文俊、木村 健世、木村 亜維子)
私なんかもそうなんだけど、本というのは、何かしら目的を持って読むことが多い。
実用書は言わずもかなだし。自己啓発書だったら、自分の何かを変え、生活を良くしていこうという目的がある。ハーバード流に98の方法で金持ちになりたいときに読む。
小説は単に楽しんだり、びっくりしたり、怒ったり、何かしら心を動かすのが目的になっていると言えなくもない。
本書も、最初はそういうスタンスで読み始めていた。しかし、読んでも、読んでも、読んでも、最後まで読んでも、いったい目的が何で、得られるメリットが何なのかがわからない。
副題に『コミュニケーションを「味わう」場所をつくる』とあるので、コミュニティ作りだとか、コミュニケーション論だとか、そういった話がロジカルに展開されるのかなと思いきや、そういう事も無い。
カレーを皆で食べると楽しいから幸せ。という事がずっと書かれている。
そして、それが超いい感じなのだ。あ、そうか、そんなもの要らないよね、カレーだものね。目的とか、狙いとか、要らないよね。となる。本当だよ。
カレーキャラバンという活動がある。著者の3名が中心となり、土地土地を訪れ、場所を確保し、現地で食材を確保し、カレーを作る。そして、それを訪れた先の地元の方に無料でふるまう。それだけだ。ただそれだけだ。しかも自腹なので毎回赤字だ。
これだけ聞いてしまうと、いったい何のために? となるが、お三方は「楽しいから」やっているという。始まりも「きっと楽しいに違い無い」からはじまり「本当に楽しい」から現在まで続いている。
本書では、カレーを「方法」と見立て居心地の良い場所を作る、とか、コミュニケーションを創造することを試みる、といったことも書かれているが、よくよく読むと、それも自分達が「楽しいから」やっているだけだ。
ということで、本書はカレーをみんなで食べると楽しくて幸せだ。ということを確認する本となっている。
カレーキャラバンは今現在でも継続していて、7年目に入っているようです。凄い!