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『西の魔女が死んだ』【読書ログ#137】

「魔女が——倒れた。もうだめみたい」

中学三年生のまいは、授業の合間に、母親が迎えにくるから準備をしろと伝えられる。そして、迎えにきた母親に思いもよらないことを伝えられた。魔女が倒れた、と。

魔女とは、英国で生まれ、日本で育ったまいの祖母の事だ。母娘は、田舎に住み自然と暮らす祖母を、西の魔女と、愛情を込めて呼んでいた。

二年前、中学校に進学したまいは、早々に登校拒否となった。そして「西の魔女」の家にご厄介となる。

自然に囲まれ、自然と暮らす。おばあちゃんとの生活は、生きる事の本質をまいに教えてくれた。

まいは、おばあちゃんから魔女のこころえを学ぶ。それは、生活をちゃんとすること、大事なことは自分で決めること、寛容であること。そして、死は永遠の別れではないこと。

まいとおばあちゃんの生活は、まいが自分で新しい生活を受け入れると決めたときに終わるのだが、とある事があり、まいは、後悔を残しておばあちゃんの元を去ることになった。

そして月日が経ち、新しい生活が全てを上書いたとき、西の魔女が死んだとの知らせを受ける。

母とおばあちゃんの家に駆け付けたまいは、取り返しのつかない後悔の念に押しつぶされそうになりながら、あるものを見つける。そして、確信する。死は決して最後のお別れではない事に。

余韻を残すといえばいいのか。言語化が出来ない、人間として大切な心の形を、物語を紡ぐことで伝えようとしてくる。読み手の心にも同じ形を残してくる。制約のない想像力を駆り立て、無限に広がる物語をみせてくる。児童書って良いなと思う。

子どものころ、死んだらどうなるのかと、何度も何度も考えた。こうやってアレコレ考えている自分が居なくなるというのはどういうことだろう。

どういうことだろう、と考える自分が居ないって、どういうことだろう。

それって、どういうことだろう。

世界は続くのか。それとも、世界も自分と一緒にすっぽりどこかに消えてしまうのだろうか。

誰もが一度は思い悩む疑問に、西の魔女は、気の利いた答えを用意してくれている。是非読んでたしかめてみて。

マンガのように、幽霊とか霊魂のようになり、そのあたりを漂い、自分が居なくなった世界を眺める事は出来るのだろうか。だとしたら、いままさに、死んだ別の誰かが天井のあたりに漂っていて、悩んでいる自分を見下ろしているのだろうか。

それは困る。困るなぁ。

超おすすめ! 読んでみて。

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。