日本政府、ラピダス支援のために「つなぎ国債」を発行へ:注目ニュース✨
発表日:2024年11月1日
新支援策の概要と背景
政府は半導体産業の競争力強化に向けて、新支援策を打ち出しました。従来の逐次的な補助金投入から脱却し、より計画的で長期的な支援体制の構築を目指します。この計画の特徴は、NTT株やJT株といった政府保有資産を活用した新たな国債発行により、大規模な資金調達を実施する点にあります。
支援の主な対象企業として、最先端半導体の国産化を目指すラピダスや、熊本に進出した台湾積体電路製造(TSMC)が挙げられています。特にラピダスについては、2027年の量産開始を目標に、総額約5兆円規模の事業計画が進行中です。これまでの政府支援に加え、さらに4兆円規模の追加資金が必要とされています。
支援の実施方法と特徴
新たな支援策の特徴的な点は、企業の事業段階に応じて支援形態を変更する柔軟なアプローチです。量産前の段階では補助金による直接支援を行い、研究開発や設備投資を後押しします。その後、量産体制に移行した際には、政府系機関による出資や民間融資への債務保証へと支援形態を切り替えていきます。
財政面では、エネルギー対策特別会計内に新たな枠組みを設置し、一般会計とは明確に分離することで、財政の透明性を確保します。また、財政健全性の指標となる基礎的財政収支(PB)の計算からも除外されます。資金調達にはつなぎ国債を活用し、政府保有株式からの配当金を償還財源として充てる計画です。
産業育成の目標と展望
経済産業省は、この支援策を通じて2030年までに半導体関連産業の売上高を15兆円規模に拡大することを目指しています。この目標達成に向けて、政府は「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)において、次世代半導体の量産に関する必要な法制上の措置を検討することを明記しました。
支援策の実施に向けては、2023年11月に経済対策の詳細が発表される予定で、2025年の通常国会での関連法案提出を目指しています。この包括的な支援は2030年頃まで継続される見通しです。
まとめ
政府による新たな半導体支援策は、国内半導体産業の競争力強化と技術革新の促進を目指す包括的な取り組みといえます。従来の単発的な支援から、長期的視野に立った計画的支援へと転換することで、民間企業の予見可能性を高め、より効果的な投資を促すことが期待されています。
専門用語解説
つなぎ国債:特定の償還財源を見込んで発行される短期の国債
基礎的財政収支(PB):政策の健全性を測る重要な指標であり、借金を除いた収支バランス