【注目ニュース】テスラ 不要だと主張した自動運転用「LiDAR」を密かに大量購入
発表日:2024年5月9日
みなさんこんにちは。【注目ニュース】では、最近発表された半導体関連のニュースの中から、専門家が厳選してお届けします。通勤・通学時間、始業前などにぜひチェックしてみてください。
概要
イーロン・マスクは、テスラを自動運転で動く「ロボタクシー」企業に変える野望を持っています。彼は、自動運転車にはカメラだけが必要だと主張しており、他社が使う「LiDAR」センサーを避けています。しかし、テスラは大量のLiDARを購入しているようです。
LiDARを「役に立たない臓器」と例え、LiDARを使う企業は「破滅する」と述べています。しかし、LiDARを開発するLuminarは、テスラのLiDAR購入が同社の収益に大きく貢献したことを明らかにしました。
Luminarはテスラ以外の自動車メーカーにもLiDARを提供しています。テスラは自動運転車両の開発にLiDARを使用していることを示す公式発表に応じていません。
マスクは、以前からの主張を繰り返し、「自動運転車両にはLiDARやレーダーは必要ない」と述べています。彼は、ビジョンベースのアプローチが自律走行に適していると主張しています。
競合他社はすべてLiDARを採用しており、それに加えて複数のカメラやレーダーを使っています。
米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)で自動運転のアドバイザーを務めたジョージ・メイソン大学のミッシー・カミングス教授は、LiDARなしではダイナミックな走行は不可能であり、それでは人が死ぬだろうと述べています。
解説
半導体は、PCなどの電子機器だけではなく、車にも搭載されています。特に近年の車にはセンサー類が大量に搭載されているため、「走る半導体」と言っても過言ではありません。
中国の自動車情報サービス大手、易車(ビットオート)のデータによると、22年の車1台当たりの半導体搭載数は化石燃料車が934個、スマート電気自動車(EV)が1459個で、25年の平均数はそれぞれ1243個、2072個になるとの計算もあります。
自動運転車を実現するためには、車周囲の状況を確認して、ハンドルを操作する技術が必要です。そのために従来では、ミリ波レーダーやカメラが主に用いられてきました。
ミリ波レーダーとカメラで先行車や車線の検知は可能ですが、本格的な自動運転に位置づけられるレベル3(条件付運転自動化)以上の実現には課題が多くあります。
例えば、ミリ波レーダーとカメラによる検知は、対象物までの距離計測は可能ですが、正確な形状や位置関係を検知することは現状では困難です。
例えば、走行している車両や飛び出してくる歩行者、一時的な工事、周辺の建物の変化、道路にはみ出した草木など、すべてを検知できなければ安全な自動運転は困難です。
このような課題を解決するために期待されているのが、LiDAR(ライダー)です。LiDARとは「light detection and ranging(光による検知と測距)」の頭文字をとった言葉です。
電波を使って測定するレーダーに対して、LiDARはレーザー光を使って測定するため、高い精度で位置や形状などを検出できます。
デメリットは値段が高いことです。安いものは数千円程度ですが、自動運転車のようなハイエンド品は単価で100万円以上になってしまうものもあります。
このことからイーロンは導入に反対だったものとみられますが、ここにきて実は買っていたということであれば、大番狂わせで導入の可能性もありますね(あるいは戦略的に隠していた?)。
TESLAの動きに関わらず、LiDAR自体の社会的需要は高まり続けることが期待できるため、投資先としてもよいかと思いますよ。
参考文献
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