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信越化学、後工程用パッケージ基板の製造装置を開発し2028年にも量産開始

発表日:2024年6月11日

概要

信越化学工業は、半導体基板の製造に使う装置の量産を2028年にも開始する計画です。この装置は、半導体を最終製品に組み立てる「後工程」において、半導体チップを基板に接続する工程を簡略化することができます。

特に、初期投資を従来の半分以下に抑えられることが大きな特徴です。これは、データセンター向けなど半導体の普及に備えるための措置です。

開発された装置はパッケージ基板の製造に使用されます。従来の露光装置を使った配線形成方法ではなく、レーザーを使って基板に配線を彫り込む方式を採用しており、露光プロセスが不要になります。この結果、初期投資が大幅に削減され、原版製造に使用する大型の「フォトマスクブランクス」や特殊レンズを自社で製造することで、大面積を一度に加工できるようになりました。

信越化学工業が開発した装置を使って加工した基板の断面

従来、線幅の細いチップを接続する際には「インターポーザー」と呼ばれる中間基板が必要でしたが、新装置ではこれまでの10分の1以下の線幅で加工できるため、中間基板が不要となり、チップを直接パッケージ基板に接続できるようになります。

この結果、工程が短縮され、半導体製造コストの削減に繋がります。信越化学工業は、この装置を半導体パッケージ企業に提案し、年間200億〜300億円の売り上げを目指します。

半導体の製造プロセスは主に前工程と後工程に分かれており、回路を微細にする前工程が物理的な限界に近づいているため、複数の半導体チップを組み合わせて性能を上げる後工程の技術革新が求められています。半導体の国際団体SEMIによると、世界の半導体後工程製造装置の市場規模は2025年には2023年度比49%増の59億5000万ドル(約9300億円)に達すると予測されています。

信越化学工業は、半導体シリコンウエハーで高いシェアを持つものの、装置メーカーとしては後発です。しかし、自社の化学プラントや製造装置の設計技術を持ち、これまでも複数の装置を外販してきました。素材と装置の技術を組み合わせ、半導体製造プロセスの革新を目指しています。

参考文献


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