見出し画像

インド太平洋経済枠組み(IPEF)とは? 🌏:有事の際の半導体供給維持網

皆さん、こんにちは!今回は、半導体にも重要な影響を及ぼす国際経済の最新トピックであるインド太平洋経済枠組み(Indo-Pacific Economic Framework for Prosperity, IPEF)について詳しく解説していきます。😊


IPEFの概要

IPEFは、2022年5月にバイデン米大統領の呼びかけにより立ち上げられた新しい経済協力の枠組みです。アジア太平洋地域における経済面での協力を深め、自由で開かれたインド太平洋地域の実現を目指しています。

現在、IPEFには14カ国が参加しています。参加国には、日本、アメリカ、オーストラリア、インド、韓国などの主要国に加え、ASEAN諸国も含まれています。🗺️

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/ipef.html


IPEFの目的と特徴

IPEFの主な目的は以下の通りです:

  1. 地域の経済統合を促進する

  2. 持続可能で包摂的な経済成長を実現する

  3. 中国の影響力拡大に対抗する

IPEFの大きな特徴は、4つの柱を中心に協力を進めていることです。
これらの柱は:

  1. 貿易

  2. サプライチェーン

  3. クリーン経済

  4. 公正な経済

興味深いのは、参加国がこれら4つの柱のうち、自国の利益に合うものを選んで参加できる点です。これは、すべての項目に同意が必要なTPP(環太平洋パートナーシップ協定)とは異なるアプローチです。👍

インド太平洋経済枠組み(IPEF)について。引用元は外務省北米局北米第二課https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100547933.pdf

実際に、現状では柱1である貿易に関してインドは不参加を表明しています。

IPEFの進展と主要な出来事

IPEFは設立以来、着実に進展を遂げています。主な出来事を時系列で見てみましょう:

  • 2022年5月:東京でIPEFの立ち上げが発表

  • 2022年9月:ロサンゼルスで閣僚級会合開催、4つの柱について交渉対象を合意

  • 2023年5月:デトロイトで閣僚級会合開催、IPEFサプライチェーン協定の実質妥結を発表

  • 2023年11月:サンフランシスコで首脳会合および閣僚級会合開催、IPEFサプライチェーン協定の署名式実施

特に注目すべきは、2023年11月の会合でIPEFクリーン経済協定IPEF公正な経済協定の実質妥結が発表されたことです。これにより、IPEFの枠組みがより具体的な形を取り始めています。🌱

IPEFの課題と今後の展望

IPEFには多くの期待が寄せられていますが、同時にいくつかの課題も指摘されています:

  1. 関税引き下げが対象外:従来の自由貿易協定と異なり、IPEFは関税の引き下げや撤廃を扱いません。これにより、参加国にとってのメリットが見えにくいという指摘があります。

  2. 中国との関係:IPEFは中国の影響力拡大に対抗する側面がありますが、多くの参加国は中国とも密接な経済関係を持っています。この点でのバランスが課題となっています。

  3. ルールの水準:環境、労働、デジタル経済などの分野で、どの程度の水準のルールで合意するかが注目されています。高水準のルールを目指せば、新興国・途上国の参加が難しくなる可能性があります。

今後、IPEFがどのように発展していくかは、参加国間の交渉や国際情勢の変化に大きく左右されるでしょう。特に、2024年の米国大統領選挙の結果が、IPEFの方向性に影響を与える可能性があります。🗳️

IPEFの具体的な事例

IPEFの成功例として、サプライチェーン協定の実質妥結が挙げられます。この協定により、参加国間での重要な物資の供給が安定し、特に半導体や医療機器などの分野での供給不足が解消される見込みです。これにより、各国の経済成長が促進されると期待されています。

また、クリーン経済協定では、再生可能エネルギーの普及や環境保護に関する取り組みが強化され、持続可能な発展が推進されています。これにより、各国が環境に優しい経済成長を実現するための基盤が整えられています。🌿

最新のニュースとしては、日韓主導で有事の際には半導体や重要鉱物に関して調達体制を整えるために、15日以内に緊急会議を開くことを定めています。

まとめ

  • IPEFは、米国主導の新しい経済協力枠組み

  • 14カ国が参加し、4つの柱(貿易、サプライチェーン、クリーン経済、公正な経済)を中心に協力

  • 中国の影響力拡大に対抗する側面がある

  • 関税引き下げを扱わないなど、従来の自由貿易協定とは異なるアプローチ

  • 今後の発展が注目される重要な国際経済の枠組み

この記事が勉強になったよという方は、スキお待ちしています🥰
今後も、半導体やテクノロジーに関する分かりやすい記事をお届けしますので、見逃したくない方はフォローも忘れないでくださいね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

専門用語の説明

  • フレンド・ショアリング:価値を共有する同志国との安全で信頼できるサプライチェーンの構築

  • APEC:アジア太平洋経済協力。アジア太平洋地域の21の国と地域が参加する経済協力の枠組み

  • RCEP:東アジア地域包括的経済連携。ASEAN10カ国に日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを加えた15カ国による自由貿易協定

#IPEF #インド太平洋 #経済協力 #国際経済 #米中関係

参考文献

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/ipef.html

おすすめ記事


いいなと思ったら応援しよう!

半導体Times
よろしければサポートもよろしくお願いいたします.頂いたサポートは主に今後の書評執筆用のために使わせていただきます!