超初心者向け 文庫本制作RTA

趣旨と参考記事

原稿と1,000円あれば半日で本が作れました(挨拶)

シケイダです。普段はPixivで二次創作をしておりまして、原稿が溜まったので本にしてみました。自分の作品が形になると想像以上に嬉しい。もっと気楽に製本しましょう、という趣旨で、参考まで手順を記します。

扉紙。半日なのにちゃんと"本"
本文。ページ数、左上のタイトルもある。
テンプレートだが表紙もある

この記事の手順で、写真の本は半日以内に入稿できます。後は印刷所様に感謝を捧げながら、お手元に届くのを待つだけです。

表紙カバーや組版など、凝りたい方はこちらの素晴らしい記事をご参考ください。今回の記事作成でも大変参考にさせて頂きました。深謝。

準備物

原稿、テキストエディタ(メモ帳でOK)

以上です。後は全てWebツールとフリー素材を活用させて頂きます。

製作の流れ

①構成を考える

まずは章立て=制作的には扉紙を入れる場所を考えます。
まだページ数や目次等の細かいところまで考える必要はありません。どこに扉紙を差し込もうか、これだけでOKです。

ここから、章ごとに「章の扉紙→本文→見開きの左右を整える空白ページ」を量産していきます。

今回は掌編集なので、各作品の前に扉紙を入れたい

②原稿を加工する

上の章ごとに、Pixivやカクヨム等にある本文の原稿をコピーします。ふりがなやタグがないプレーンな原稿が理想です。

まず、コピーした原稿を縦書きの体裁に変換します。横書き→縦書きお節介アシスト様という神ツールを使います。

作業としては原稿を貼り付け、ふりがな等のタグを外し、変換するを押すだけです。あとは変換後のテキストを見つつ、変換漏れや誤字脱字を修正すれば原稿は完成です。

③本文をPDFファイルに変換する

縦書き用に整えた本文原稿を、入稿用のPDFファイルに変換します。
使用するのは縦書小説PDFメーカー様です。最後までこれ一本で戦います。具体的には、表紙以外の全て(本文、目次、扉紙、奥付)はこちらで作成します。何なら表紙もできます。神ツール。

左上(青丸)の縦書本文を選び、本文以外を画像の通りに入力します。忘れると後々面倒になる設定は赤枠の4点です。
・左右ページ配置:右ページから始める
・タイトル表示:上・外側
・サイズ:A6(文庫本はA6)で塗り足しあり
・左ページタイトル:章の名前を記入

体裁とタイトルの設定

あとはコピーした原稿を張り付けてボタンを押すだけです。これでタイトル付きの本文PDFファイルが出力されます。はやい。

もうそれっぽい

出力されたPDFを見つつ、区切りが悪いところを改ページしたり、見開きの左右を整える空白ページを追加し、再度ファイルを出力します。

改ページと空白ページは、以下のタグを本文に差し込みます。
<newpage> 改ページ
<blankpage> 白紙の追加。見開きの調整で最後に必ず1つか2つ入る。

本文にタグを差し込む
<blankpage>は最後に必ず1つか2つ入るので注意

本文の完成形ですが、最後2ページが
・左上に章のタイトルが入ったページ
 (本文ありでもなしでも必要)
・タイトルなしの白紙
で終わっていればOKです。

そのため、必ず<blankpage>を1つか2つ追加します。

必ず左上にタイトルがあるページ → 白紙ページの2ページで終わること

なぜ空白ページを挟むかと言えば、実本で、

章の最後のページがありまして
<blankpage>で追加した空白ページがあり、
見開きの左から次の章が始まる

にしたいからですね。
なお、最後の章だけこの空白ページは不要です。代わりに奥付が入ります。

各章に空白ページを入れる理由ですが、まず上記のように見た目が綺麗です。また、章の開始位置が統一されるので作業も楽です。印刷費は若干増えますが価値はあります。

以下、作業が楽になる理由の詳細です。読まなくても問題ありません。

・タイトルは本全体で同じ位置に表示すると綺麗(今回は見開き左の上)
・章の開始が見開きの左右で統一されていない場合、同じ設定で本文を作ると、タイトルの場所がバラバラになる
・「右ページから始まる」「左ページから始まる」をいちいち設定で使い分けて各章の本文ファイルを作る必要があるが面倒
・しかも、途中でページが増えた時や、短編集で作品の順番を入れ替えた時はこの設定が全てやり直しになる

最後に右下の「テキストファイルを端末に保存」から、本文のテキストファイルをダウンロードして保存しておきましょう。修正時に便利です。

④扉紙を作る

さて、本文のPDFファイルが出来ました。次に扉紙を作りましょう。
青丸の「扉&目次」メーカーで、赤枠のフレームと章のタイトルを入れるだけです。はやい。

後で出てきますが、本全体の中表紙(タイトルページ)もここで作成します。下の補足欄に著者名を入力ください。

フレーム、タイトル(改行も反映されます)を入力
扉紙が完成

⑤扉紙+本文を量産する

②~④を繰り返し、章ごとに扉紙+本文のPDFファイルを量産します。
なお、命名規則を整えておくと、後ほどアップロードする際に楽です。

00a_表紙
00b_タイトルページ(中表紙)
00c_目次
01a_第一章扉紙
01b_第一章本文
02a_第二章扉紙
……
98_後書き
99_奥付

量産の結果

⑥タイトルページ(中表紙)を作る

表紙の次に来る本全体のタイトルページを作ります。作り方は④の扉紙を作ると同じです。備考欄に著者名を追加するだけ。

著者名が追加

⑦奥付&後書きを作る

同じく縦書小説PDFメーカー様の奥付(&あとがき)メーカーを使います。

QRコードは「QRコード 作成」などで検索すると無数に画像作成サイトが出てきます。私は自分のPixivページに飛ぶよう設定しています。

上の赤枠がQRコードで、下の赤枠が奥付になります。今回は作成しておりませんが、青枠部分があとがきです。全て同じページに表示されます。

QRコード付き奥付。QRコードはPixivに飛びます

⑧仮の目次を作る

中表紙(タイトルページ)、扉紙、本文、奥付&後書きまで出来ました。あとは目次だけです。

目次はまず、画像のようなテキストファイルで仮目次を作ります。

まだページ数は空白で大丈夫です。三点リーダの数は章のタイトル次第で、綺麗に一行へ収まるよう調整してください。

仮目次。まだページ数は不要。

注意点として、目次が2ページ以上になる場合、本文と同じ見開きの調整が必要です。目次パートの合計が必ず奇数ページになるよう、<blankpage>で空白ページを足してください。目次が1ページの場合は問題ありません。

これを本文と同じ縦書本文メーカーに入れるとこうなります。

目次が2ページになったので<blankpage>で
1ページ追加し、合計3ページに
目次が1ページの身の場合は対応不要です

⑨結合・目次完成・ページ数を振る

さて、目次だけ仮ですが、一旦全てパーツが揃いました。ファイルを結合して、ページ数を確認します。

結合は同じく縦書小説PDFメーカー様のPDF結合にファイルをアップロードするだけです。ここで目次に入れるページ数と、見開きの調整が成功しているかも確認できます。

赤枠からアップロードするだけ
命名規則を整えていると下の画像のように楽
タイトル → 目次 →(扉紙+本文)の繰り返し → 奥付の順

下の赤枠の機能(ページ数ガイドと左右ページガイド)が便利でして、オンにしてください。

右の赤枠欄で見開きとページ数を確認します。以下の2点が異なると見開きが崩れています。
・タイトルと扉紙が全て「左」であること
・奥付が「右」であること

扉紙が左になっていれば、画像のように全ての章が左から始まります

扉紙の横にあるページ数が、各章の開始ページになります。これを先程の仮目次に記入して目次を完成させ、もう一度PDFファイルを出力します。

空白だったページ数を入力して目次が完成
これで目次のPDFも完成。ページ数も入っている。

これで全てのパーツが完成しました。
目次だけ、更新版にファイルを差し替えます。

赤枠から古い仮目次を削除し、
ページ数を入れたもので再アップロード

差し替え後、PDFを結合してダウンロードを選択ください。後はそのファイルにページ番号を追加するだけで、同じく縦書小説PDFメーカー様のページ番号の追加ツールから可能です。

タイトルページ、目次、扉紙をページ番号の追記から除外している

注意点は2点になります。
・左右ページ配置:左ページから始める
・除外ページ数(ページ番号を振らない)

除外ページは趣味ですが、本文以外からページ番号を除くとデザイン性が増す気がします。気のせいかも。

最後にページ番号を追加を実行するを押すと、

もう本

これで本の中身が完成しました。あとは表紙だけです。

⑩表紙を作る

表紙もWebツールのテンプレートを活用すると最速です。

お好きなツール、お好きなデザインで色々お試しください。基本的な注意点は以下です。
・A6サイズであること
・印刷所様の入稿形式に沿ったファイル形式にすること
 (PSD、PNG、PDFはおおむねどの印刷所様でも対応)
・ページ数に応じて本の背幅を追加すること
 (縦書様の表紙メーカー下に、本文ページ数と背幅の計算機があります)

入稿する

⑪印刷所様を決める

この縦書小説PDFメーカーを提供くださっているシケメンプリント様、ちょ古っ都製本工房様、ねこのしっぽ様など、適宜選択ください。


⑫製本仕様を決める

趣味です。以下は私の仕様のご参考になります。

表紙:アラベール スノーホワイト 160kg
表紙加工:マットPP

・カバーがないので加工付きに
・表紙は絵がなく、落ち着いたデザインなので風合いのある用紙に

本文:書籍用紙 72.5kg(淡クリームキンマリ)
・小説は枚数が多いので、重い用紙は不向き

遊び紙:タント70k C-68(うす水色)本文前後に1枚ずつ計2枚
・コストが安いのに高級感が出ます

タイトルの前に遊び紙を入れると、"本"

綴じ方:右とじ
・日本の一般的な本はこちら。上の画像の通りですね。

製本方法:くるみ製本
断ち切り:あり
・断ち切りありでOK
本文の用紙サイズに+塗り足し(3mm)とあるのはこのため

以上です。
後は作成した本文と表紙のデータを入稿し、入金すれば無事お手元に本が届きます。お疲れ様でした!

あとがき

ハードルが高そうに見えて、実は原稿さえあればすぐに本は作れます。
自分の書いたテキストが物理的な本になるのは結構嬉しく、1,000円未満で出来る娯楽としてはかなりおすすめです。

また、この制作チャートは2走目のため、ご意見いただけると大変嬉しいです。もっと最速で気楽に本を作っていきましょう。


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