セルバのシステム開発における上流工程での生成AI活用方法を紹介
こんにちは。セルバ中山です。
先日、システム開発で生成AIを活用する方法の記事を公開したところ、思ったよりも多くの人に見ていただけています。
お役に立てていれば嬉しいです。
セルバではシステム開発の上流工程(マネジメント)でも、AIを使って効率化を進めているので、今回はその方法を紹介します。
上流工程にあたる部分は、下記の9つに分けています。
それぞれについて説明していきます。
① WEBミーティング・市場分析
② 要件分析・機能要件
③ 技術評価
④ システム設計
⑤ 画面設計
⑥ 見積もり
⑦ スケジュール
⑧ 開発・進捗管理
⑨ 社内テスト・品質管理
①打ち合わせ・市場分析
現在は多くのWEBミーティングアプリケーションで、AIによるミーティング音声のテキスト化と内容の要約が可能です。
WEBシステム案件を問題なく進めていく第一歩は、ミーティングの議事録での認識合わせです。
打ち合わせでのAI活用
WEBミーティングアプリのAI利用ツールでは以下のようなことが可能です。
1.自動議事録の作成
AIを活用してミーティング中の会話をリアルタイムでテキスト化し、議事録を自動生成してくれます。
ミーティング後のドキュメント作成の手間を減らすことができ、すべての参加者が議論の内容を正確に把握しやすくなります。
2.会話内容の要約
AIを用いてミーティングの主要なポイントや決定事項を要約してくれます。
長時間のディスカッションを短い要約文で提供でき、参加者が重要な情報を素早くキャッチアップできるようになります。
3.アクションアイテムの抽出
ミーティング中に出されたアクションアイテムやフォローアップが必要なポイントをAIが識別し、リストアップしてくれます。
プロジェクトの進行に必要な次のステップが明確になって、効率的なプロジェクト管理が出来ます。
4.感情分析
AIによる感情分析を行い、ミーティング中のトーンや感情の変動を分析します。
クライアントの懸念や重視しているポイントが明確になり、より効果的なコミュニケーションが可能です。
AI搭載のWEBミーティングツール
AIを搭載したWEBミーティングツールとしては、代表的なものは以下があります。
セルバではZoom(ZoomWorkplace)を使っています。
一から人の手で議事録を書くのと、AIが出力した議事録を手直しするのでは後者の方が大きく手間が削減出来ます。
まだ使ってない方はぜひ一度使ってみてください。
市場分析
ChatGPTとの応答で、業界・市場に対する理解を深められます。
例えば『介護求人の求人サービス』市場はどのような状況な状況なのでしょうか?競合はどこなのでしょうか?という質問をChatGPTで行った場合、下記のようなやりとりが出来ます。
このような情報から、チェックしておくべきサービス、競合が行っている施策などがわかります。
これらを元に、クライアントと一緒に目指すプロジェクトの方向性やポジショニングを決めていきます。
上記からさらにAIとチャットを繰り返し、市場に期待されている機能やサービスを明確にしていきます。
②要件分析・機能要件
クライアントからヒアリングしたやりたいこと(要求定義)を元に、要件定義として明確にしていきます。
クライアントと認識を合わせるためにも、まずはどのような機能があるサービスであるかを詰めていきます。
その際『どのような機能があるべきか』はChatGPTを利用し、必要機能をリストアップします。
大枠で機能をリストアップし、それぞれをChatGPTとの応答で掘り下げることで活用出来ます。
③技術評価
クライアントからあまりよく知らない技術・サービスを「使って欲しい、連携させて欲しい」と要望いただくこともあります。
そのようなときはまず技術評価をすることになりますが、それらもChatGPTを活用し進めていきます。
現状10回答があったら1、2誤った回答がくるイメージです。
とはいえ10をすべて一から自分で調べるより、かなり答えにたどり付くのが早くなります。
④システム設計
システムの設計では、インフラ構成とシステム構成図(アーキテクチャ図)の作成をChatGPTを活用して行うことが出来ます。
インフラ構成
ChatGPTを活用して、必要なインフラをある程度明確にすることが可能です。
ただ、より厳密なインフラ定義をするならば、先にサイト規模を想定しておく必要があります。
機能一覧と、それぞれのデータ量を明記したExcelをChatGPTに添付し(要ChatGPTの有料化)、質問と一緒に送信すれば必要なシステム構成を教えてくれます。
たとえば、ChatGPTでAWSのインフラ構成を提案してもらうと結構正確な答えが返ってきます。
※ただし、AWS以外でインフラを構築する場合は厳しいかもしれません。
システム構成図(アーキテクチャ図)の作成
ChatGPTで直接作図することは現状できませんが、システム構成図を表す記法を出力することは可能です。
⑤画面設計
昨今のWEBサービスは使いやすい、理にかなったUIであることが求められます。
つまり早い段階で「どのようなページがあるのか」「そのページの構成要素は何か」「どのような見た目か」「どのように操作するか」を綿密に検討し、クライアントに納得していただく必要があります。
FigmaAIを用いたワイヤー・モックアップ作成
AIを用いたワイヤーや認識合わせ用のモックアップをFigmaAIで作成することが可能です。
テキスト(プロンプト入力)でAIにどのようなレイアウトにしたいか指示すると、レイアウトの作成をしてくれます。
⑥見積もり
見積もりの作成自体はセンシティブな作業なので、現状ではまだ手作業で行うのが良いと考えています。
ただし、参考となる過去案件の見積がある場合は、AIに以下のような作業をさせることが可能です。
過去案件と比較させ、見積もりの妥当性を考察させて見積もりの精度を上げる
ざっくりとした要件からの概要見積もりを作成
要件項目が変わった場合の見積もりの即時作成
つまるところ過去案件の見積もりは『価格表』として機能しています。よってただの金額の羅列では意味がなく、価格表として成立する見積書が必要です。
類似案件を今後も受注する見込みがある場合、AIが解釈しやすいように見積書を作っておくとよいです。
※余談ですが、過去の見積をChatGPTに学習させていったら、精度の高い見積もり返してくれるようになるんですかね?試したことないけど。
⑦スケジュール
既に機能要件が決まり、タスク一覧と見積もりも出来ているならば、タスク一覧とそれらタスクの工数も作成されているかと思います。
そこにさらに「担当者」の項目を追加した表を用いて、スケジュールを作成します。
※MicrosoftProjectなどAIに対応したスケジューラーはあるにはありますが、ここでは要件定義に必要なガンチャートの出力を例示します。
手作業で調整する必要はありますが、上記のようにChatGPTを用いてざっくりとしたスケジュールを出力可能です。(※要MermaidJSの出力環境)
これにより大まかな工期を把握することが出来ます。
⑧開発・進捗管理
開発では、GitHub Copilot等を利用することでコードの作成が可能です。
※今回の資料は上流工程についての解説であるため、コード作成の詳細は省きます。
⑨社内テスト・品質管理
テストに関しては、AIを利用したテスト手法を各社が提供し始めています。
いくつかは試しましたが、まだセルバで実務で使えると判断したものは出てきていないです。
※もし良いテストAIを知っている方は教えてください。
現在はまだまだ発展途中ではありますが、今後システム開発での品質担保はAI活用が前提となるのは間違いないと思われます。
その時にはテスト業務がガラッと変わりますね。
まとめ
セルバでは生成AIの活用方法も相談に乗らせていただいているので、お気軽にご相談ください!
「生成AIでこういったことが出来ないか?」というニーズを聞かせていただけるのはセルバにとっても非常にありがたいことです。
こちらからお問い合わせください。
また「うちはこういう用途で使っているよ」というのもあれば、教えてもらえればありがたいです。
WEBサイト制作のご相談や「制作会社が多すぎて選べない」という場合は、お気軽にご相談ください。
セルバでは制作会社の選定代行も行っています。