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出版流通ってなんだろう? | SeLn

こんにちは、〈SeLn(セルン)〉広報部です。

〈SeLn〉は「出版流通を再発明する」を経営理念に掲げ、出版流通のオンデマンド化を進めるスタートアップ企業です。まだまだ小さな企業ですが、出版流通への大きな愛と強い気持ちをもって事業をすすめています

書籍の執筆や編集、書店の仕事に比べて目に見えにくい「出版流通」という仕事をしていますが、これがなければ書籍は読者に届きません。
このnoteでは、そんな私たちの仕事である「出版流通」の変遷と仕事の内容を紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。


「出版」されたものを「流通」させて、一人ひとりに届ける縁の下の力持ち

出版流通とは、本や雑誌などの出版物が出版社から消費者の手に渡るまでのプロセスを指しています。具体的には、出版物の製造、在庫管理、物流、小売りまでの一連の流れを管理し、効率的に読者に届けることが主な仕事です。このプロセスには、出版社、印刷業者、取次業者、書店など多くの関係者が関与しています。出版流通業は、いわば出版業界の縁の下の力持ちです。

実際に倉庫に並ぶ書籍の帯などの資材。番号と共に管理されている

出版流通のプロフェッショナルになるには、“出版”としての「印刷・製本」などの書籍をつくる知識・ノウハウに加え、“流通”としての「配本・再販売」などの書籍を届ける知識・ノウハウ、書籍に限らない「物流・在庫・倉庫管理」の知識・ノウハウなど、必要な知識やノウハウが多岐にわたるため、総合力が必要とされます。胆力も体力も必要な仕事ですが、仕事を通じて書籍が一人ひとりの手元に届いていると実感できるため、本好きには嬉しく誇りに思える仕事です。

大量の作品が作られ、大量の書店に送られる。時には返品されながら、本を循環させる

出版流通の仕事が最も忙しかったのは1990年代です。これは出版業界全体のピーク期でもあります。

1990年代はバブル経済の名残があった一方で、まだ今ほど多種多様な娯楽やネット情報も溢れていなかったため、書籍や雑誌は情報源や楽しみの花形でした。1995年にWindows 95が発売される以前は、一般家庭にパーソナルコンピュータがほとんどなく、書籍は教育や情報収集、そして娯楽においても重要な位置を占めていました。親や親戚が子どもの成長に合わせて百科事典や文学全集を贈り、雑誌を通じて文化や流行を学び、ゴシップやアイドルの情報を週刊誌で追い、日々のニュースは新聞で確認していたのです。

また、鉄道網全盛の時代でもありました。1990年代くらいまでは駅周辺が人がもっとも集まる場所でした。これにより、小売店の出店が進み、駅前書店が増加しました。書店ネットワークの全国展開や大型書店の増加により、新刊書へのアクセスも向上しました。さらに、印刷・製本技術の進化により、より高品質で多様な書籍を効率よく生産することが可能になり、マスメディアの盛り上がりと連動して、テレビ番組や有名人の関連書籍が市場に大量に送り出されました。

出版流通は、これらの作品が適切なタイミングで書店に並ぶよう調整する重要な役割を担っており、1953年に生まれた「再販制度」に基づき、書籍の価格が統一されることを保証し、書籍のアクセスへの公平を保っています。今も基本的な仕事自体は変わっていません。

デジタルシフトする時代の中で。少しずつ変わってゆく出版流通

1990年代後半から2000年代にかけてインターネットの普及が進み、まずEC、そしてと電子書籍での書籍販売市場が出現・成長し始めました。EC店舗や電子書籍の利点は、物理的な空間を必要とせず、どこからでもアクセスできることです。これにより、出版物の生産・管理・配布の方法が根本的に変わり始めました。特にここ十数年、出版社はデジタルフォーマットでの出版に注力し始め、消費者は紙の本と電子書籍の間で選択することができるようになりました。これに合わせて、出版流通の形も変化し始め、書店に届けるだけでなく、直接購入者に届ける方法や、古い書物の電子化など、多様な流通が導入されています。

それでも、出版流通の現場には今もたくさんの紙の書籍があります

だけれど、紙の書籍も完全には代替されていません。紙とデジタルの共存する世界へ

市場調査によると、全世界的に電子書籍の売上は増加していますが、紙の書籍市場も安定しており、特に特定のジャンルでは紙の書籍の方が好まれる傾向にあります。たとえば、児童書や高級な美術書、学術書などは紙のフォーマットでの需要が依然として高いです。これは、紙の書籍が提供する独特の価値が消費者に認識されているためであり、完全なデジタル移行は困難であることを示しています。

紙の書籍には、長い歴史があります。読者は紙の書籍にとても馴染んでいます。物理的な感触やページをめくる音、インクの匂いなど、デジタルでは再現しきれない感覚的な魅力を持っています。多くの読者はこの感覚を楽しみとしており、読書体験の一部ともなっているわけです。なので、電子化で出版流通業が消滅することはまだまだなさそうです。だからといって、変わらないで今までの仕事だけを続けるだけでは、自分たちで未来を切り開けません。〈SeLn〉では、私たちの思い描く「出版流通の再発明」のひとつの方法としてプリントオンデマンド(POD)を実現します。

書籍製造の技術革新が生む、新たな出版流通としての「プリントオンデマンド(POD)」

紙の書籍は、書籍の内容が決まった後に印刷工場・製本工場にて「印刷用データへの変換」「印刷」「加工(表紙のPP加工など)」「断裁」「製本」「検品」「加工(帯カバーの装着など)」「包装」「梱包」からなる、丁寧なプロセスを経て「出荷」となります。

1冊から注文があるたびに印刷するプリントオンデマンド(POD)という製造方法を採用しても、そのプロセス自体が変わるわけではありません。PODは在庫を持たない流通システムそして品切れをなくすために必要な方法にはなりますが、それ自体が非常に効率的な製造、というわけではないのです。デジタルの力やプロセスの管理や受注管理などを効率化することで、効率的な製造を個別製造で実現しているのがPODというわけです。

〈SeLn〉のつくる、出版流通の「次の一歩」

私たち〈SeLn〉は「出版流通を再発明する」を経営理念に掲げ、出版流通のオンデマンド化を進めています。これは、今までと違う方法で一冊の本を一人ひとりの手元に届けるための発明です。

まずは、オンデマンドを皮切りに出版流通の新しい形を実現していきたいと考えています。
そして、その先にデジタルテクノロジーを活用したさらなる進化系出版流通の再発明を目指していきたいと考えています。

今日も工場からは書籍がオンデマンドで出荷されていきます

出版流通業界は、デジタル化の進展によって大きな変革期を迎えていますが、その本質は変わりません。それは、知識や文化、先人の知恵の詰まった言葉と物語を、一人ひとりの読者に届けることです。〈SeLn〉の経営理念は「出版流通を再発明する」。再発明した先の一人ひとりの読者を大切に、大きな愛と強い気持ちをもって出版流通と向き合っていきます。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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