いちばんになりたい
今回はちょっと毛色の違う話。
昔、まだ私が恋愛感情すら自覚できていなかったとき、彼との事後に、彼は私にある女の子の投稿を見せた。そのホス狂の女の子は、彼が紹介したNSソープで、5日間で70万近く稼いでいた。
「すごいでしょ」
お前の努力ではないのだが。でも彼は嬉しそうだった。まあスカウトとして女の子の力になれることは嬉しいだろう。さらに彼のお金にだってなる。ニコニコ嬉しそうにしている彼を見ながら私は全力でその女の子に嫉妬していた。
私は彼の自慢の姫になりたかった。私のことも「すごいでしょ」って誰かに自慢して欲しかった。
後から彼のツイートを見て彼女をフォローした私は、彼女のいるスペースに入り、そこで出逢った人たちにたくさんの面白いものを見せてもらうわけだが、それはまた別の話。
私は彼の担当の女の子が全員嫌いである。いや嘘。嫌いではない。それぞれの女の子達は大好きだ。だけど私は馬鹿だから、巡り巡って彼にお金をもたらす存在になる女の子は全員怖い。彼の苦境を見てると、ありがたいとも思うんだけど。
彼に他の担当の女の子がいること、それは間違いなく私が稼ぐ燃料になっている。負けたくないもん。それにどう頑張ったって私じゃ彼を養い切れない。そんなことわかっているから、余計なお世話かもしれないけど、私は彼の担当の女の子全員に感謝しているし、敬意を払っている。
と、同時に、私はきっと彼の1番の姫にはなれない。
ずっと思っていた。私に自分の学問を追いかけながらホイホイと月200万ぐらい、稼ぐ能力があれば。彼の借金を涼しい顔で返してしまえる財力があれば。煙草でも吸いながら、「え、150万円?いいよ、あげるよ」と言ってしまえるかっこいい女だったら。そのぐらい私が有能だったら、彼にあんな不安そうな顔をさせなくて済んだのに。
いや、能力はあるんだろう。だけど私はそこまで頑張れない。自分が頑張れないことが悔しい。恥ずかしい。いや、やってみた。本当に写メ日記も頑張って書いてみた。でも私はお茶を引くし、1本しかつかない日だってある。どんなに頑張っても予約完売にはならないし。自分が焦りすぎなのなんてわかっている。でもこれ以上どうしたらいいかわからない。脳味噌を使えない。本当は整形だってなんだってすればいい。DTで働けないなら論文を書けばいい。勉強すればいい。親が自分の人生の邪魔ならはやく家を出てしまえばいい。
なのに私はこうやって今もボソボソとtwitterにへばりついている。行動力がないのだ。
本当に正直なことを言ってしまえば、この恋愛は最初から諦めている。
多分彼が私を女の子として好きになることなんてない。なんとなくわかる。だって私は可愛げのない女だから。守りたくなるような、可憐でわがままな女の子じゃないから。純粋に、彼のタイプじゃないから。私は人間としてモテることはあっても、女の子としてモテたことは今まで1度もない。そんなこともうこの20年間で嫌というほど思い知らされてきた。
だからせめて彼の最愛の姫でありたかった。最愛の部下でビジネスパートナーになりたかった。それなら私の頑張りでいくらでもどうにかできるから。
はやく彼の自慢の姫になりたい。なのに頑張れない。それだけ。