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これ、やってみたい

トップ画像にて出落ち感が否めない。

そう、社交ダンスである。

note部第7回は『チャレンジしてみたいこと』
現実的か非現実的か、できるかできないか、は置いておいて、のテーマ。

日本ではいまだに定年後の楽しみだとかお金持ちの趣味だとか言われる事が多いけど、違う。歴としたスポーツで、しかもすごくカッコ良い。ものすごくカッコ良い。競技ダンスなんて、もう、すごい。あのキレから指先の動き、衣装やメイクまで、詳しいことはど素人なので全くわからないながらも、人間の可能性って・・!と毎度思う。

実は憧れたのは随分前になる。8年前、カナダのトロントにいた時のこと。南米ラテン系ばかりが集まるバーがあった。その名をMana。友人にブラジル人が多かったので、必然的にラテン系のつながりも増えた流れでの、夜遊びだった。バーというか、バーラウンジであり、ナイトクラブなので、踊るスペースがある。私は夜の遊びというものをしてこなかったので(もっぱら飲んでばっかり)、とても新鮮だったのと同時に、あんまりよく分からなかった。が、飲んでると気軽に誘われる。踊る?と。さすがラテン。何度か断って(だってよく分かんないから)、なんとなく手を取った人が、すごい人だった。チリかアルゼンチンの人だったと思う。ダンスのインストラクターのようだった。ひよこ以下むしろたまご以下の私は、ステップのスの字も知らないし、マナーもルールも全然わからない。どうしたものかな、と思っていた次の瞬間、視界がぐわっと動いた。そこからの10分ーー5分ほどだったかもしれないーーは忘れられない。完全に踊らされていたけど、踊れていた。おお、体が動いている。という感動で、新しい世界がキラキラしてた。知らずに踏まされるステップ、いつの間にか回転させられるターン、仕舞いにはくるくる回されて、ジャジャンと終わった。キマッた!と本当に思った。

ここで少しネガティブな話をしよう。
私は長いこと自分が好きではなくて、鏡を見れなかった時期もあるし、今だって正直、狭い穴蔵にこもって早死にしたいとしょっちゅう思っている。なので穴蔵から出て社会生活を営む事が困難に思えることも多々ある。ここでまた残念すぎる自分が嫌になって、負のループとなる。そんな穴蔵人の私には、妙に盛り上がる波というのもあって、楽しそうなことには俄然やる気が出る。軽い躁鬱状態と一緒だ。だが依然ビビリなので、なかなか始められない。知らないグループに入っていくのも、新しい人に会うのも、正直言って震えるほど怖いと思っている。勇気を出すのに毎度バンジージャンプの気分なのだ。人見知りの喋りたがりは、初対面の時には頑張って足をバタバタさせている事が多い。そんでいっぱい喋る。そんなこと、実は友人たちもあまり知らないのではないかと思う。彼らが私を、彼らの知らない間に色んなところに引き止めていてくれている。

例えば。

先日アルゼンチンの子と知り合った。岩手でスノーボードのインストラクターをしていて、帰国前に会うことができた。スノースポーツの話になって、スキーに関してはbadだという私に、彼女は一瞬怪訝そうな顔をした。私はあんまり運動神経は良くない。足も遅いし球技なんて苦手中の苦手だった。サッカーとバドミントンは好きだったが。スキーも、実は幼少時には毎冬スキー教室に通っていた。が、別に上手くない。滑れる、ってだけで、傾斜がキツければ悲鳴を上げるし今は毎年恒例になっている友人らとのスキーも、ゴーグルの中で泣きそうになりながら悲鳴を上げて滑ってることもある。スノーボードは一度だけ試したが、生命の危機を感じてお手上げだった。
そんな私にニコニコのラティーナは言った。

違う、beginner なんでしょ。bad じゃない。

ちょっとハッとしてしまった。
誰もがみんな、最初はbeginnerで、今キラキラのトップにいる人たちだって、転んだり挫けたりしながら努力していたはずだ。そうだ。その通りだ。

こんなようなことは過去にもあった。

4年ほど前のこと。ずっと遠慮していたことをついに初めてやってみた。クライミングである。しかも屋外の。場所はスイスで、こんなところである
 ※私ではありません。
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遠慮していたのはなぜかって、自分が重いから。地上にいる人とロープでつながって、支えてもらいながら登らなきゃならない、落ちるようなことがあれば地上にいる人(ビレイ、と言うらしい)に多大なる負担がかかる。(周囲が思う以上に私のコンプレックスは非常に強い)そんな申し訳ないこと恐ろしくてできない。そう思っていた。でも、黙々と岩を登り黙々と筋トレをし黙々と山を登るタイプの友人が、大丈夫、やってみましょう。と言ってくれた。そしてそこで気付いた。『やってみたかったんだな』と。いやいやそんな、と拒否しながらも憧れだったんだなと。

そうして2年前。今度は渓谷へ行った。テクテク歩けるようなところではなく、プロのガイドと一緒に行くこと、とされているガチなやつ。それも、遠慮していた。理由は前述と同様、自分が重いから。でもこの時も、プロのガイドさんに逆に怒られた。おれ、プロだよ。舐めないでくれる?と。この上ない心強い後押しで初めて参加した。
こういうやつである。
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ちなみに手前の彼がプロガイド氏だが、いたずらっ子なので、こういった箇所では揺らしてくる。思いっきり揺らしてくる。参加者の悲鳴が好物だそうだ(とても優しい方です)

ロープも背負わせてくれた。姿だけは一人前。
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高いところが苦手だし、アウトドアに慣れてないし日々歩き回ってるくせに筋肉ないしちゃんと完走できるのか不安だったけど、途中から溢れ出たアドレナリンと流石のプロのおかげで無事に終えた。いや、無事ではなかったか。最後の最後に滑って脇腹を岩肌に強打し、あばらにヒビが入った。笑 ただ、今まで非常に元気に生きてきたおかげで骨に関わる何かなぞしたことがなかったので、これはこれで非常に新鮮で貴重な体験だった。とても痛かったけど。
ちなみに、肋骨はヒビでも折れててもできる事がない(じっとしているしかない)とのことで、湿布貼って大人しく・・・してようと思ったけど翌日マッターホルンの山小屋まで歩いていた。激しい運動でもなし、大丈夫かな、と。笑
ちなみにここ。
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念の為、飛んでいるのは私ではない。

こんなふうに、少しずつ克服している・・・つもり。

自分の中のバランスがうまく取れていないため、突然突拍子もないことをしたり妙に大胆なことをしたりする。そんなビビリな私である。
段階的に少しずつ、やりたい、と思うことをできていくようになったが、いまだに色んな理由をつけて二の足を踏むことの方が多い。とても悪い癖だとは自覚している。強い自己否定感と諦めをどうにかするには、他力本願なのである。でも諦めずに強く誘ってもらえていたからこそ、体験できて、楽しさが増えた。ありがたいことだ。
こんな面倒な人間を懲りずに引っ張っていただいて、本当に感謝している。どんなことでもあの一歩、最後の一歩がとても勇気のいることだった。

社交ダンスもそう。あと少し。あと少しであの扉を叩ける気がするんだ。


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