起立と着座動作が上手くいかないの原因分析〜誰でも理解できる筋活動とバイオメカニクス、脳機能との関連性も踏まえながら〜

立ち上がりの1相(重心が前方に移動する相)

立ち上がりの1相目は体幹を前傾させることによる重心を前方に移動させる時期です。

体幹は骨盤が後傾せず、脊柱は伸展している必要があります。

骨盤が後傾している場合、座面に対して骨盤が回転しにくくなるため、非常に効率の悪い動作になります。

立ち上がり動作において骨盤を前傾させる筋は腸腰筋であり、脊柱を伸展させるには多裂筋の収縮が必要です。

立ち上がりの2相(臀部が座面から離れる相)

立ち上がりの2相目は臀部が離床し、足関節が大きく背屈する相です。

臀部が離床するために膝関節の伸展が必要になります。

膝関節を伸展させるには大腿四頭筋の筋収縮が必要ですが、大腿四頭筋の筋活動のみでは後方に重心が移動するため、臀部離床が達成されません。

膝関節の伸展は、前脛骨筋の活動により下腿が前方に傾いた位置をキープしながら、大腿を前方に回転させることにより達成します。

大腿が前方に回転するには、骨盤前傾を大殿筋の収縮によりブレーキをかけることにより、その力が膝関節に波及し膝関節を伸展させる動きとなります。

立ち上がりの3相(重心が上方に移動する相)

立ち上がりの3相目は股関節・膝関節が伸展し、足関節は底屈することにより、重心を上方に移動させて立位を完成させていく時期です。

前方に移動している重心を上方に移動させるには、床に対して下肢の足底面でしっかりと押し込むことで達成されます。

大殿筋と中間・外側・内側広筋の収縮により床を押し込む作用が生じ、重心上方移動できます。

重心の上方移動に伴うバランス維持のために、足関節底屈筋は収縮量を調整しながら活動します。

変形性膝関節症や高齢者の内側広筋萎縮と立ち上がり動作

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