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【為政者の心得3】答えは、「管子」にあり。「徳」の次は、人民を「義」へ導け。

前回は、まず為政者が「徳」を持って政治を行うための六興に触れました。この六興には、産業振興から危機管理、福祉政策に至るまで、現代の国や地方行政においても必要となる施策の数々が示されていました。約2700年前に書かれた「管子」が現代の社会でも十分に通用すること自体驚きなのですが、さらに管仲は、「義」を通じて人民を導くことの重要性を説きました。彼が定めた「義」の七体は、個人の道徳的行動から国家運営に至るまで、幅広い分野に影響を及ぼすものです。以下は、その「義」の七体についてです。

1  孝悌慈恵

- 親に対する敬愛と尊敬、他人に対する慈愛と恵みを持つこと。

2  恭敬忠信

- 主君に対する敬意と忠実さを示すこと。

3  礼節

- 社会的な規範と礼儀を守ること。

4  法の遵守

- 正しい行いをし、法を犯さないこと。

5  倹約

- 飢饉に備え、資源を大切にすること。

6  篤実

- 災害や戦乱に備えるための純心堅固な態度を持つこと。

7  親和協力

- 外敵の侵入に備え、協力一致で対応すること。

いかがでしょう。
ここで、改めて漢字の美しさ、そして奥深さに魅了されます。
まず、「孝弟慈恵」という言葉がでてきました。一言一言に意味があります。孝悌慈恵とは、儒教における重要な徳目の一つで、親や兄姉など年長者に対する敬愛と尊敬、そして他人に対する慈愛と恵みを意味します。

孝(こう): 親に対する敬愛と尊敬、親に従い、親のために尽くす心を表します。
悌(てい): 兄弟や年長者に対する敬意と服従、兄弟間の和を保つ心を表します。
慈恵(じけい): 他人に対する慈愛と恵み、他者を思いやり、助ける心を表します。

また、「恭敬忠信」という言葉も出てきました。これは、儒教の基本的な徳目を表す言葉で、以下のような意味を持ちます。
恭敬(きょうけい): 敬意を表し、謙虚に振る舞うこと。
忠信(ちゅうしん): 忠実で信義に厚いこと。誠実に行動し、人を欺かない心を持つことを意味します2。

これらの徳目は、個人が社会の中で守るべき道徳的な行動規範とされており、人としての基本的な品格を形成するために重要視されています。恭敬忠信を実践することで、人々は互いに尊重し合い、誠実な関係を築くことができるとされています。また、これらの徳目は家庭や職場、さらには国家運営においても大切な価値とされ、調和のとれた社会を作るための基盤となっているのです。

政治の世界では、選挙が近づくと「バラマキ」が起こることがありますが、倹約して基金に備えることの重要性が際立ちます。

管仲は、別のところで、「貨(か)尽きて而(しか)る後に足らざるを知るは、これ量を知らざるなり」と述べています。つまり、商品やお金がなくなってから「足りない」と気づくのは、必要量を把握していないからです。災害が起こった後で国家や地方自治体の予算が不足していることに気づいても遅いのです。

管仲の説いた「義」を通じて、人民を導くことは大変なことでしょう。
しかし、管仲は、この「義を高める」ことに注力しました。これは、道徳から始まり、外交や財政など国家運営の全般にわたるものです。私たち現代人も、これらの「義」を心に留め、正しい道を歩むことの大切さを再認識する必要があるということですね。


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