(今日の言葉3)山形の名女将から学ぶ組織運営の極意
2024年9月号の月刊「致知」は、「貫くものを」を特集テーマにしていた。その中で、山形県かみのやま温泉「古窯(こよう)の大女将である佐藤幸子氏の記事「与えられた運命を生かす」が掲載されていた。
この古窯は、ホームページ等を見ると、名峰・蔵王連峰を一望できる天空露天風呂があり、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において、40年以上連続でトップ10を受賞しているという。
私は、95歳になられた大女将の半生に感銘を受け、幾多の苦労を乗り越えてきた佐藤氏が大事にされている社訓に目が留まった。
その古窯の社訓とは、
である。
この社訓は、毎朝唱和し、とにかく相手の身になって思いやる心を大切にしているという。
まさにこの社訓が大切であると感じたのは、最近、自分もこのことを経験したからだ。ある仕事において、あまり要領を得ず、部下の意見を聞かずに物事を進めてしまうリーダーがいた。そこで、部下たちは、他のリーダーに相談し、その要領を得ないリーダーを非難してしまう案件があった。
しかし、よくよく話を聞いてみると、要領を得ないリーダーは、今まで前例のない仕事に取り組んでいること、また部下の割り当ても自分が決めてあげたほうが良いと思い、割り当て表を提案したとのことであった。
本来なら、部下の予定も配慮しながら、ローテーション表を作っていくべきであったと思うが、その配慮が欠けていた。
とにかく、その上にある立場の私としては、両方のリーダーから話を伺い、その気持ちを認め合い、それとなく相手がどのように感じているかをオブラートに包みながらそれぞれに話をした。
その結果、最終的には、うまく収まったが、古窯の社訓を知っており、組織のフィロソフィとして浸透していれば、このようなことにならなかったのにと感じた。
論語の相手を思いやる「仁」にも繋がる精神は、誰もが宿泊したいという従業員の精神に息づき、その結果が評価されている。
山形かみのやま温泉「古窯」の大女将である佐藤幸子氏は、言われる。
そのために、佐藤氏は、愚痴や文句や批判を言わず、辛い時も苦しい時もその境遇を受け入れて一生懸命やってきたと言われる。
この精神が社訓に反映されている。人を思いやることの大切さ。このことが組織を強くし、周りを幸せにし、その結果として、人から評価されるものになる。このことを佐藤氏から教えていただいた。
私は、いつの日か、再び、山形の地を訪れてみたいと思った。