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ハカセと学ぶ、気候変動や環境のこと #010 DRAWDOWN 11-15位

 「温暖化を止め、逆転させるのに何をしたらいいのか、お金がどれだけかかるのか、どれだけ節約できるのか?」を書いた DRAWDOWN の紹介シリーズに入の3回目です。

第一回 温暖化がいまどのくらいヤバいのか
第二回 地球史スケールでみてどのくらいヤバいのか
第三回 ヤバくなった原因その1 畜産業の環境負荷
第四回 ヤバくなった原因その2 アパレル業界の環境負荷
第五回 スマートフォンの環境的・社会的負荷
第六回 プラスチックと私たち 前編
第七回 プラスチックと私たち 後編
第八回 DRAWDOWN 第1-5位
第九回 DRAWDOWN 第6-10位
第十回 DRAWDOWN 第11-15位 ←今回

 今回は、第11-15 位です。

第11位 環境再生型農業

そんなことができるのか…!!

 これまでも書いてきましたが、農業や畜産業の環境負荷というのはなかなかのもの。整然と豊かに実った田畑を見ると安心感やありがたさを覚えますが、もとは木々に覆われていて多様な動植物が生きていた場所を切り開いてできたもの。そこに生きていた動植物にとっては迷惑な話かもしれません。

 実は、僕たちが見慣れた畑の姿、植物に覆われず土が露出している状況というのは生態系にとっては「不自然」なこと。土壌が乾燥して微生物たちが生きていけなくなる環境です。微生物の力ってすごく大事で、植物や私たちが栄養を吸収するのに彼らがいなくては全然うまくやれない、ということのようです( by 桐村りささんの本)。なので、だんだん土地の力が弱ってきます。

 だから肥料や殺虫剤に頼る訳ですが、それが流れ出して周囲や川や海の生態系に影響を与えたり、栄養バランスを変えてしまったり、肥料そのものから温室効果ガスが発生したり、どんどん土地の力が弱ってしまったり、土壌そのものが流失してしまって耕作できなくなってしまったり、、ということが起こります。だからもっと肥料や殺虫剤が必要になる、という悪循環が起こっていて、世界中の土壌がいまかなり弱ってしまっているようです。

 環境再生型農業は、それを逆転させるやり方。複数の作物を一緒に植えるとお互いに元気にする関係性、というのが植物にはあり(コンパニオンプランツというらしい)、それを組み合わせて、自然の仕組みをうまく使っていろんな野菜や果物を育てようというもの。

 いろんな種類の環境再生型農業がある中で、僕が注目しているのは「協生農法」というやり方。伊勢にいる野人むーさんが始めたものをソニーCSLが定式化したもので、百数十種類もの作物を狭い範囲に植えてお互いを元気にする関係性を勝手に作らせるというぶっ飛んだ農法です。なんとこれが、砂漠を1年で緑化させることにも成功しています。

 実際に見に行きましたが、面白い。ブルーベリーの木にゴーヤや豆がぶら下がってたり、雑草のようにそこら中にニラが生えてたり。肥料も水も与えず耕しもせず(タネと苗は持ち込む)、植物たちが勝手に育っていました。

 多数の作物を混植して立体的に畑を使うので面積あたりの生産性は高く、2畳ほどの面積で家族4人が1年間食べれた、という実績も。驚きです。都会の空き地なんかでもかなりの量の作物を作れるようになるのでは?と思うと、ものすごい希望を感じます。

 硫黄島のうちの畑でも試してますが、生えたそばから孔雀に食われて全然ダメ。笑 今年は孔雀対策をします!

第12位 温帯林

 世界の温帯林は回復傾向にある、というのは嬉しい話。アメリカでは以前から保全活動が盛んになってきていたり、耕作放棄地が森にもどったり、ということのようです。しかし昨今の熱波で森林火災が多発していて(気候変動が進むとますます森林火災は増えると予測されています)、この先どうなる?という感じですね。

 日本でも耕作放棄地は増えていてそこが森に戻っていくのは炭素固定という意味では良い話かもしれません。しかしミクロにみると、集落に森が近づいてくることによる獣害の増加や、手入れできないために森が荒れて利用価値がなくなってしまったりという問題も。

 気候変動だけでなく、本当に豊かな暮らしを取り戻すためにあらゆることを考えていきたいですね。

第13位 泥炭地


第14位 熱帯性の樹木作物


第15位 植林

次回、第16-21位です。

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