「銀河鉄道の夜」で知る、人間の中の光と闇
宮沢賢治の名作に「銀河鉄道の夜」という作品があります。学校が終わればすぐに病弱の母親のために牛乳を買に行ったりと、自分と身内のことで忙しいジョバンニと、川に落ちたクラスメートを助けるために水に入って見つからなくなってしまったカンパネルラの二人を巡る美しい物語です。
思うに、ジョバンニが見せる自分のことしか考えられない利己的な側面と、カンパネルラが見せる、時に他人に手を差し伸べる利他的な側面は、実は、一人の人間の中に並存しているものではないでしょうか。宮沢賢治は、一人の人間に潜む光と闇の側面を、あえて二人の人格に分けて物語を構築したような気がします。
ただ、人間の中の正反対な人格は、どちらもその人であることの証しであり、否定すべきものではないかもしれません。要は、自分の中には二種類の人格があるのだということを頭の片隅で意識して、バランスを取りながら生きていくしかないのだと思います。人は天使と悪魔のミックスジュースなのです。
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