アニメ会社がテレビ局の子会社になると… ジブリが日テレの傘下に
「日本テレビがスタジオジブリを子会社化した」
このニュースを見たときに思うことはたくさんあったのですが、ほぼ全部ネガティブなものです。これで良くなる部分が全く見えない。優秀なスタッフは抱えていても経営的にはあまり振るわないスタジオジブリが金銭的に多少助かる、くらいでしょうか。
なんかほんと……あまりいい感じがしなかったわけです。
スタジオジブリ作品がサブスクで流れることはこれでほぼ絶望的になった
見たいと思ったときにすぐ見れるサブスクの動画サービス。スタジオジブリ作品のような子供たちに見せたい作品こそ、サブスクでいつでも観れれば良いのですが……。
ジブリが日テレの子会社となったことで、これがほぼ絶望的となりました。
そもそも日本とアメリカを除く世界各国では、Netflixでスタジオジブリ作品が配信されている、というのを知っていらっしゃる方はそれなりの数いるのではないでしょうか。
「これだけ世界で配信されているのに、なんで生みの親であるはずの日本で配信できないの?」という疑問がありますが、これは日本でのジブリ作品の放送権を日本テレビが持っているからです。日本テレビと言えば、いつも金曜ロードショーでジブリ作品を放送していますね。まぁつまりそういうことです。
「サブスクなんかで流されたら視聴率取れなくなっちゃうじゃん!!」
と。
それでもジブリが独立している分にはまだ希望があったんです。「子供たちに見る機会を多く与えるために配信したい」とジブリ自身が言えば、変わる目も出てくるかな、と。
が、日テレの子会社になったということは……まぁ……もうダメですね。
日本テレビが運営している動画配信サービス「Hulu」で配信する、というのが唯一残った可能性ですが……無いかなぁ。今やテレビでの視聴率の稼ぎ元は貴重な存在ですから。
特定のアニメ会社の作品をテレビ局が独占する可能性
もう一つの懸念点が、「これはマズい前例作っちゃったな~」ということです。
「日テレがジブリを子会社化か……ならウチは○○(アニメ会社)を買収しとくか」
という動きが出てこないとも限らない、ということですね。こうなってくるともう、自由な作品作りがされません。
アニメ会社としては「原作のファンを大事にするような作品を作りたい。これは良いアニメだ、と思ってもらえるような作品を作りたい」という想いで大体いつも作品を作っているはずなのです。
しかしテレビ局の子会社化になってしまうと、そこにテレビ局の思惑が多く絡んできます。今までも“委員会方式”という作品の作り方で、放送するテレビ局からの思惑が作品作りに影響を与えてくるということはありました。しかし「子会社化」となれば、それ以上に大きな影響が作品作りに入ってくるのです。
あり得ない方向に物語の舵を取られ、声優にはアナウンサーや推しのタレントとかも入ってくるかもしれません。そういうことが「話題作りになる」とテレビ局は考えるからなんですよね。
そんな……アニメ。もう……どうなんでしょうかね。
まぁこんなわけで……僕は「ジブリが日テレの子会社化」には良いイメージを持っていないわけです。
出資をして「ジブリ」という名前を残したとしても、良い作品が生まれなければ結局は消えていくことになると思うんですがね。今はまだ良いですが、いずれ鈴木敏夫さんや宮崎駿さんも本当に引退する日がくると思います。
そうなった後のジブリから生まれるもの。それは、「ジブリっぽいなにか」ではあるかもしれませんが、「面白い作品」かどうかは微妙……だと個人的には思っています。