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※「イイ!!」算数指導法について②
前回、子どもにとって20年後も役立つ学習法として、「色々な解き方で解く!!」が効果的だと書きました。
色々な解き方で解く事で、
①単元への造詣が深くなる
②俯瞰して物事を見るクセがつく
③思考力がつく
の3つの力の育成が期待でき、学ぶことに対して積極的で将来活用できる力が身につくと考えています。
問題への造詣が深くなる
1つ目は「単元への造詣が深くなる」です。
1つの課題に対して複数の解法を探る事で、その課題や単元全体に対しての理解が深まります。例えば例題では小数の計算をあげましたが、整数と小数を分けた子は、小数の性質を感覚的に理解できており、計算しやすく変形することができています。自分で計算しやすいように分ける作業は、「小数が1を10等分したもの」と言葉で聞くよりも、子どもにとってより本質的に小数や位を理解することに繋がります。
引き算を取り入れた子は数をまとまりとして捉えられており、計算の工夫ができています。数をまとまりとして捉える工夫は、与えられた計算式を平面の文章ではなく1つ1つの数字の集合として理解できている証拠だと言えます。数字を分解する過程で小数の性質に気づけたり、自分で計算しやすい形に変形する事は、ただ小数の計算をしているよりもはるかに多くの知識や頭の柔らかさを活用することになります。
このように1つの問題を色々な角度から考える事で、その問題や単元の本質に気づくことが出来たり、これまでの知識を活用したりする機会になります。そして新しい解法を考える、0→1を作り出す時間は、ゲームのようにのめり込む要素があり、子どもの集中力や楽しさを刺激する事にもなります。
俯瞰して物事を見るクセがつく
2つ目は「俯瞰」です。これは一歩引いて違う視点から問題を捉えなおす力と言い換えられます。「計算は出来るはずなのに、文章題が全くできない」という悩みは非常に多いです。これは与えられた計算問題に対してマシーンのように解法を当てはめているだけな勉強方法が原因です。
色々な解き方で解くやり方では、問題に対してのアプローチを自分で考える事を習慣付けていきます。いくつもの解法を考えるには、問題の着眼点を変える必要があるので、必然問題を自分なりに捉えなおす、問題と距離を離す時間が生まれます。そうする事で今まで気づかなかった解法が見つかる「成功体験」を得る事で、子どもは問題を捉えなおす事が重要な要素であることを体験的に習得していきます。
文章題を解く際には、①問題文から情報を取捨選択する ②問題文を正確に理解して立式する ③立式したものを正しく計算する 3つのフェーズに分かれています。計算能力はこの③に当てはまりますが、①②が出来なければ計算能力を活かすところまで行く事ができません。問題に対するアプローチを自分で考え、自分なりに捉えなおす力が育成されている子は、①②の能力に長けていると言えます。
このように解き方を考える事で、問題を俯瞰して捉えなおす力が身に付き、文章題をはじめとした以後の様々な単元・分野での学習でつまづきにくいようになります。
思考力がつく
3つ目は思考力がつく事です。もっと簡単なやり方無いかな、他の誰も知らない方法を見つけたい、と1つの問題に向き合って思考する力が育成出来ます。
与えられた課題をこなしていく受動的な学びに対して、自分から課題を見つける事は能動的な学びだと言えます。受動的な学びでは、処理能力の速さや効率化、最適化を育成できるのに対して、能動的な学びでは、0から1を作り出す力や多角的に物事を考える力が育成されます。どちらももちろん大切ですが、子どもの20年後に役立つ能力はどちらかと考えれば後者なのではないかと思います。
課題に対して自分の中にあるツール(勉強の場合は知識)や外部の協力(教科書や友だち)を活用して答えを導き出すという一連の思考過程は、他のどの分野でも価値のあるものです。ぜひ取り入れてみてほしいと思います。
最後に
子どもが楽しく、20年後も役立つような学びのマインドセット、色々な解き方を考える!! いかがでしたでしょうか。
2面にわたって読んでくださった皆様、ありがとうございます。
これからも教育に関する事や学習の視点で書いていこうと思います。
ご意見などございましたらコメントやXのDMなどお待ちしております。
これからもよろしくお願いいたします。