
「良くなっている」と「悪い」は共存できる
当たり前といえば当たり前ですが、「良くなっている」と「悪い」は共存します。
「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」にこのことが書いてあって、これは改善活動においても大事な観点だな、と思いました。
良くなっているには、およそ3つのパターンがあります。
① 良くなっているけれど、まだ悪い
これがいわゆる「良くなっている」と「悪い」が共存している状態です。
最悪の状態は脱しつつあるけど、まだ良いとは言えない。
ただ、この状態が続けば、明るい未来が見えてくるでしょう。
② 良くなってきて、悪いから良いになった
皆さんが思う改善はこれではないでしょうか?
明らかに悪いものが良くなった。オールオッケー、みんなハッピーです。
改善を評価する人は、これが一番評価しやすいかもしれません。
③ 良くなったので、さらに良くなった
いわゆる「最適化」と呼ばれる状態です。
改善に次ぐ改善を実施して、改善自体が文化にならないとこの状態にはなりません。
不具合や流れの悪い箇所に対して敏感になって、より良くなっているのでおそらく働きやすい環境でもあるでしょう。
運用改善で重要なことは、「①良くなっているけれど、まだ悪い」という結果を正しく評価することです。
「①良くなっているけれど、まだ悪い」は、どの段階を観測しても悪い状態です。その上、最後までやり切ったとしても良いという状態にはなりません。
けれども、確実に「良く」はなっています。
ほとんどの改善活動は順調にサイクルが回り始めれば、いずれキチンとした結果を出します。
そのため、評価者は活動の現在の地点ではなく、状態が良くなっているのか、それとも悪くなっているのか、という傾向を見なければなりません。
傾向を見ることが、正しい評価をしているということにもなります。
ついでに「悪くなっている」と「良い」が共存する例も考えておきましょう。
④ チャレンジしたら、失敗したけどまだ大丈夫
「良い」の貯金があれば、ちょっとぐらい悪いことが起こっても大丈夫です。ライフは満タン。
この状態であれば、アグレッシブにチャレンジしていくことができるでしょう。
⑤ テコ入れしたら、さらに悪化した
「ちょっと良くなってきたけど、まだまだ悪いから俺も一肌脱いでやるか!」といって、なんでも一枚噛みたがり社員が改善チームに入ってきて改善自体が衰退していくことがたまにあります。
結果が出せるメンバーで改善プロジェクトを継続することは、どんな改善を実施するかと同じぐらい重要です。
改善活動が上手くいき始めると、色々な人が色々なことを言い始めます。
それらの中から、必要な情報を取捨選択することが、改善を継続させていくために重要な要素です。
■電子版もあとで出ますよ。