アパレル販売職ってこれからどうなるんだろう
*この記事は無料記事です
接客販売に関する研修やコンサルを生業にしている身として、販売職の未来について考えることがよくあります。
「10年後、今の仕事はどうなっているんだろうか」
明るい未来を想像できる日もあれば、なんだか暗〜い気持ちになってしまうような日もあります。(あるよね??)
世間でもよく言われていることですが、販売職という仕事はこれから先どんどん減っていくだろうと予測はされています。
販売職と一言で読んでもその実態は色々で、めちゃくちゃ接客して販売をする人もいれば、どちらかというと作業員的な役割で店に立つ人もいます。
どれも『販売職』という括りでは同じなのですけど、特にセルフレジなどの購買システムの導入がしやすい業界の販売職は減っていくだろうとは想像ができてしまいます。
そういう職場だと『販売職』としての役割よりも、今後はいかに買いやすい売り場を作っていくかにシフトした役割が求められるでしょう。
適切な呼び名が僕にはわかりませんが、『作業員』ではちょっと味気ないので、「ショップキーパー(良い状態に店を保つ人)」「メンテナンスパーソン(維持する人)」みたいな言葉が出てくるのかな??(ワードセンスないな…)
さてそんなことも考えながら、やっぱり気になるのは販売職として一番イメージがしやすい『アパレル販売員』です。
アパレルだけだと洋服に限られちゃうので、ファッション販売員かもしれません。
特に今、「接客いらんよね」的な風潮の中で逆風に立たされながらも接客で販売をしようとしている業界ですから、これから先の未来がどうなるか戦々恐々になっている人も多い業界なんですよね。
市場はというと、コロナによる影響を考慮しなければほとんど横ばい気味です。
ただ展望的には、国内人口の減少に伴って『増える』という予測は立てにくいというのが大方の見方。
販売単価は上がる傾向にあっても(実際に近年の単価は各企業で上がり気味)、結局販売点数は下がり気味なので、トントンという感じ。
衣食住のうちの衣が無くなることは考えにくいとはいえ、市場規模のパイの中で企業同士が食い合いをしているといえばそうなのかもしれません。
事実、セルフ販売がメインの企業や、SHEINのような新興大規模ECメインの企業が出てきていることで、従来型の接客販売をしている企業が苦戦を強いられているのが現実です。
(近所の20歳の女の子と話していたら、「SHEIN、めっちゃ使う」と言われました。
大人たちが品質やら手法やらに批判的な論調を繰り返していても、実際の利用者からすればそんなものはどこ吹く風で、使いたいなら利用するのです。)
そういう状況下にあっても、企業としては販売職スタッフを繋げ止めなきゃいけません。
だから必死になって販売職のモチベーションを上げるための活動は行なわれています。(僕も各所で大いに関わっていますけど)
そういった活動の中で謳われていることがどこまで本当なのかは、情報を受け取る側の目(取捨選択ね)も必要でしょう。
ラグジュアリー業界は、空前の販売員不足になっていて、ここ最近は採用費にかつていないほどの予算を投入しています。
売上規模に対して、足りていないところは本当に足りていなくて、売れるチャンスがあるのに販売員が不足している企業も結構あるんです。
一方で、現場は人員不足ながら売上規模が足りずに、人材を入れられる状況にない企業も少なくはありません。
結論を考えると、販売チャンスが多くて、とにかく誰でもいいから販売ができる人を求める企業と、コアな接客で売り上げを上げてくれる販売員を求める企業とが二分されていくような予想もできます。
そして後者に関しては、そんな販売員を確保できないとなると自然淘汰されてしまう可能性は高いのですが、実質は繋ぎ止められるほどの報酬を出すことができないなど、負の循環に入っている場合もあるわけです。
ネガな話になっちゃいましたが、見方を変えれば健全な商環境になっていくとも取れるかもしれません。
実際の企業は、先に書いたような二種類だけではなく、さまざま存在しています。
EC・リアルに関わらず、セルフ・コンサル接客を上手にミックスして安定した売り上げを上げている企業もありますし、販売員のブランディングまでも適切に行なうことで顧客を確保している企業もあります。
現状は誰もが感じるようにオーバーストアになっているのは間違いなくて、ニーズに対して適正供給ができる状態に近づくことで、販売職の地位が上がってくることも考えられます。
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しかし面白いなと思うのは、こうしたごちゃごちゃした考察なんかよりも、人間はもっと素直だということです。
近年、「接客なんていらんよね」的な風潮があるとは言いましたが、ここ最近は動向が変わっている節があります。
というのもとある企業の仮説に基づいて、『接客に集中できるスタッフ』の配置を増やしたところ、売り上げが伸びているからです。
その企業では最近まで、販売員は接客はするけれど、基本業務は店舗のメンテナンスで接客がメインではないというスタンスでした。
そもそも店舗のシステムそのものが、接客をしっかりやれるシステムではなく、お客様が自由に買い物ができる方向へシフトしていたのです。
ですが、「接客がしっかりできるスタッフの配置を増やしてみたらどうなるか」という仮説を立てて実際に検証してみたところ、購買率が相当数上昇したんですね。
実際のお客様の声も、決して悪くない。
これの何が『人間って素直』という話なのかというと、ファッションのトレンドと似たような話じゃないかと思うのです。
ファッショントレンドはおおよそ20〜30年周期で回ってくると言われています。
少し前に流行り出して現在もまだニーズの高い『Y2K』トレンドは、『year 2000』のことで、20年と少し前のファッションをリバイバルしたものが中心になっています。
2000年頃に流行ったファッションが、この20年の間は『ダサい』とされていたのに、ある程度世代が変わってきたことで急激に『おしゃれ』に変わっているわけです。
ファッショントレンドってこういうことが毎シーズンのように起こっていますよね。
つまり、『ダサい→おしゃれ』『おしゃれ→ダサい』の繰り返しなのですが、これって人の持つ性だと思うんです。
流行っている間はみんな欲しがるし、少し流行が変わると途端に欲しくなくなる。
接客もそうなんじゃないかという仮説です。
ここ10年以上の間は、「接客って必要?いらんよね」という風潮が強かった。
ECの発達もあって、わざわざ店で接客を受けて商品を買わなくても、楽に買うことができていました。
でもそれが続いてきたことで、今度は「やっぱり、店で店員と仲良くなって服を買うって良いよね」みたいな風潮もどこかにあるんじゃないだろうかと。
その時、良い店員(販売員)と交わることができればそのニーズは補完できますし、そうでなければ「やっぱりいらんよね」となってしまう。
とすると今の販売員としての実力を磨き続けることが肝要で、それができれば、大変な時期はあってもまたニーズが出てくる可能性があると考えるのです。
あくまでも僕の仮説に過ぎない話で、当然穴はたくさんあります。
コミュニケーションの取り方そのものが変わってきているであったり、
結局それで販売員の暮らしが楽になるわけではないのだから、将来的にどうかまでは考えられてはいないといった現実的な問題も控えています。
ぶっちゃけた話が、他の全ての仕事と同様に、優秀な人材は常に求められ続け、そうではない人材は求められないという原理原則は変わりません。
でも、優秀な人材になろうとする努力と成果があれば、アパレル販売員という仕事そのものはいくらでもやれるという話です。
それがたとえ都心部ではない地方であっても、オンラインでお客様とつながって売ることはできますし、なぜか地方の方がそこには強かったりもします。(なんでだろうか)
今の会社や店でやり続けられるかどうかはさすがに不透明でも、販売員としての仕事はなくなりはしないだろうということですね。
その時にどれだけ実力を備えていられるかです。
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もちろんセカンドキャリアとして違う仕事を考えるのも大きな選択肢だと思います。
そういう相談は僕もたくさん受けますから、どんなことを考えてセカンドキャリアを検討しているかもある程度の理解はできます。
ただ転職を考えるときに、「販売職の未来が見えないから」という理由だけだと目が曇ることもあります。
現にそんな理由で違う職種にしようとしている人の話を聞いてみると、
「とりあえず安定していて、食いっぱぐれない仕事で…」と言っていたりするんですけど、そんな仕事はまぁなかなかありません。(というか思いつきますか?)
どんな仕事でも未来がどうなるかなんて予想くらいしかできなくて、実際にどうなるかなんて読めないのです。
だったら、未来が見えないのは一緒。もう少し考えないといけません。
報酬が理由なのであれば、転職で報酬を上げられる場合も多いので、検討することもあります。
でもその場合も、前職(販売員として)の実績がなければなかなかうまくはいきません。
だったら今の仕事で成果を上げられるようなことをしていかないと、大変な思いをするのは変わらないのでしょう。
家庭のことなど考えて、休みの取り方(働き方)を変えたいということであれば、すぐにでも転職しても良いかも。
こればかりは販売職ではなかなかすぐに変えられることでもないので、大きな理由になり得ます。
その場合は、事前にどんな働き方ができるか入念なリサーチは必要ですね。
…すみません。
書いていたら話があちこちに言ってしまって何が書きたいのかよくわからなくなってきちゃいました。
ただひとつ言っておきたいのは、悲観するにしても楽観するにしても、やることは何も変わらないってことです。
悲観的になって仕事に身が入らなくなり実績が落ちれば、転職しようとして割を食うのは自分でしかありません。
逆に楽観的になって仕事をしていても、仕事ができないなら、今の会社での地位も転職先での地位もまともに築けません。
先のことをいくら考えても、結果は変わらないということです。
だから結果を変えるための行動をしていくしかないんだよなぁと思うんですよね。
もしかするとそこに『未来がどうなる』なんてことは、考えなくても良いかもしれない。だって誰にもわからないんだから。
そうはいっても考えておかないと不安になるのもよくわかりますし、人間はモチベーションがないとしんどいのも知っているので、僕もこれから先、いろんな意見を言っていくことにはなると思います。なるべくポジティブな方向でね。
バーっと所感を言葉にしてしまったので全くまとまってなくて申し訳ないんですが、自分の頭の整理のためにも、たまーにこういうこと書いていこうと思います。
お付き合いいただいてありがとうございました。