歯科衛生士というお仕事
今日は歯科衛生士という仕事について少しお話をしようかと思います。
皆様は歯科衛生士(dental hygienist 略称:DHとも言います)という仕事をどのようなものだと考えているでしょうか?
歯のクリーニングをしてくれる人?歯ブラシ指導をしてくれる人?いろいろ意見があるかと思います。
確かに、そういったお口の中への医療行為もDHの大切な役割です。しかし、私の考えるDHの仕事というものはもう少しイメージが異なります。
歯周病治療というもの
この記事を読んでくれている一般の方もDHの方も少し考えてみてほしいのですが、歯科という業種はその性質上レストランのようなサービス業とは違い単発で来訪したら全てが完結するというものではありません。医療系の職業の特徴ですが、人の体への治療アプローチは何段階かの工程を経て一つの結果を出す、という流れを汲むことが非常に多いのです。
特に歯科衛生士さんの治療分野は主に歯周病治療および予防医療です。人体の歯茎という組織は主に軟組織という柔らかいものを相手取っていますので、治療した瞬間にギュギュン!!とすぐに治りません。基本的には歯周組織(歯肉・歯槽骨・歯根膜・セメント質、の4つを指します)が完全に治癒するのに約1〜2ヶ月はかかると言われています。
加えて、歯周病などの病気は一度治療しても常に再発のリスクが伴います。なぜなら歯周病は口腔常在菌による感染症だからです(ここらへんに関してはまた今度詳しく書きます。)なので、我々歯科医療に関わる専門家たちは、お口の中にある歯を生涯にわたって維持し続けるために一定の間隔で患者さんに来院していただき、直接見て、触って良い変化も悪い変化も計り直す必要があるのです。本当に地味で地道な作業ですが、生涯健康に過ごすためにはこれしか方法がないのが現状です💦しかしこれは医科の世界も同じだと思います、例えば糖尿病や高血圧などの生活習慣病、果ては癌などの大病に至っても治療→再評価検査→予防管理の順を辿ると思います!
歯科衛生士さんは歯科医院の顔、治療と予防の違い
歯科医院での我々のお仕事は、大きく分けて3つあります。1つは虫歯や歯周病、入れ歯や被せ物などのなどの病気や噛み合わせなどを治す歯科治療、もう1つは定期検診などで習慣的に病気の再発を防ぐ予防医療。残りは、上記の2つ以外の医療行為(ホワイトニングなど)となります。
歯科医院に来院される方々は、大抵は何かしらの痛みや不便を抱えてくる方が多く、クリーニング希望で来院される方を除けば歯科治療から始めることが多いです。歯科治療は内容にもよりますが、矯正治療や大掛かりな治療でも1〜2年で終わることがほとんどかと思いますし、治療というものには必ずゴールが存在します。
しかし、予防医療には明確なゴールが存在しません。検査結果のスコアや、虫歯の再発など悪い変化が無いか?患者さんのモチベーションは下がってないか?など
かなり地道な作業が延々と続きます。この予防医療は歯科治療と異なり、生涯にわたって患者さんが来院し続ける限り続きます。
ここのフェーズを維持し続けるのが主にDHの担当分野になることが、歯科医院においては一般的かと思います。クリーニングはあくまで彼女たちの仕事に一端に過ぎないのです。
つまり、歯科医院において患者さんの側の視点で見ると、歯科医院に来院した際に顔を合わせるのは我々DrよりもDHさんの方が圧倒的に期間的に長くなるようになっているのです。
当院は開院して現在、約5年ほど経過しております。長い方では4年ほど定期的に数カ月おきに当院へ来院してくれる患者さんがたくさんいらっしゃいます。
このような患者さん方は、担当してくれるDH(当院はDHは基本担当性です)を人として好んでおり、ひいてはその人がいる当院を自分の人生において必要な場所であると認めてくれている、と考えるようにしています。
表方の治療も裏方の予防も、どちらも健康を維持していくためには欠かせない要素です。DrもDHもどちらもお互いの役割、できる範囲を理解した上で付き合っていくことが大事です。
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