「稲とアガベ」（男鹿市、2021年創業のクラフトサケ醸造所）/秋田県・日本酒の旅
秋田県庁さんからのご依頼で、冬の秋田を訪問しました。
蔵やつくり手の背景を知ることで、お酒がより一層味わい深く感じられるはずです。ぜひお付き合いいただき、秋田旅行の際には居酒屋さんで飲んでみてください。
※本記事の情報は、2023年2月に訪れた時点のものです。営業時間や見学可能な状況など、変更がある場合もございますので、旅行計画の際は最新の情報をご自身でご確認ください。
稲とアガベ
秋田県男鹿市に2021年に誕生したクラフトサケ醸造所です。
「稲とアガベ」は日本酒造りの技術を活かし、「その他の醸造酒免許」でどぶろくやクラフト酒を醸造しています。
どぶろく：どぶろくは日本で古くから親しまれてきたお酒の一種で、発酵したもろみを漉さずにそのまま瓶詰めしたものです。米粒や麹の成分が残っているため、見た目は白濁してトロッとした質感が特徴です。甘みや酸味、発酵による微炭酸感があり、米本来の風味をダイレクトに感じることができます。
その他の醸造酒：「その他の醸造酒」は、米と米麹を基本としながら、清酒では使用が許されていない果物やハーブ、スパイスなどの副原料を加えて発酵させたお酒です。清酒は「米・米麹・水」のみで造られますが、その他の醸造酒は副原料を自由に使えるため、より創造的で多様な味わいを追求することができます。この自由度の高さから、ユニークで新しいスタイルのお酒が生まれています。
現在、日本では清酒製造免許の新規取得が原則不可能。そのためM&Aや「その他の醸造酒免許」を取得する動きが増えています。「稲とアガベ」は、こうした自由な酒造りを推進する「クラフトサケブリュワリー協会」の発起人でもあります。
＜アクセス＞
JR男鹿駅から徒歩2分。すぐ近くにある旧男鹿駅の駅舎をリフォームした場所に「稲とアガベ」があります。
醸造所、事務所、ショップ・レストラン「土と風」が併設されています。
岡住修兵さんの背景
神戸大学在学中に鬱を経験した岡住さん。「酒」との出会いが人生を変えるきっかけとなり、酒造りを志すようになりました。三宮の飲食店で出会った「新政」に感動し、その思いを胸に新政酒造で4年半修行。その後、秋田での生活を通じて心を癒し、秋田への恩返しとして男鹿市の再興を決意しました。
現在、岡住さんの活動には市役所も協力しており、「稲とアガベ」には正社員10名、バイト2名が在籍。彼らと共に、男鹿の街に活気を取り戻すため、日々挑戦を続けています。
稲とアガベの挑戦
現在はどぶろくやその他の醸造酒を手掛けるほか、以下の新たなプロジェクトにも取り組んでいます：
酒粕を使ったジン蒸留所の設立
ゲストハウス/オーベルジュの運営
ラーメン屋（当時は建設前、現在はおがやとして営業中）
岡住さんの強みは、日本酒を造る確かな技術を持ちながら、柔軟な発想で次々と新しい挑戦をしている点です。「自分のキャパを理解しつつ、仲間と協力しながら挑戦を続けていく」という姿勢に、周囲の大人たち（もちろん岡住さんもいい大人ではあるのですが…）も見守りながら応援しているそうです。
夢のはじまり
「稲とアガベ」は現在、「日本酒特区」の実現を目指し、活動を続けています。秋田県男鹿市から新たな酒造りの文化を発信し、地域の魅力を全国、そして世界へと届けています🌈
興味のある方は、ぜひ「稲とアガベ」ショップを訪れてみてください。そして、彼らが手掛けるお酒をぜひ味わってみてくださいね！
【注意】
※稲とアガベ醸造所は見学ができません。
最後に
今回の取材にご協力いただいた「稲とアガベ」の皆様、そして秋田県庁の皆様、貴重なお時間をいただきありがとうございました！