”距離を捨てられた”のは、東京マラソンの学びがあったから
「東京マラソンの時は、距離への不安がすごくあって。どうしても”踏んだ方がいいんだ”って、思ってたんですよね。でも、練習で1000㎞踏むなら1日何㎞になるか、電卓で計算したら、毎日40㎞休みなしで走らなきゃいけなくて。『えっ?ええっ??』ってなったんです(笑)」
1月のヒューストンマラソンで、
2時間19分24秒と日本歴代2位の
記録を出した新谷仁美選手。
その練習法は、今までの常識に捉われない、
「距離を捨てる」(必要以上に多くの
距離を走らない)というものでした。
しかし、去年の東京マラソンで、
13年ぶりにマラソン復帰した時点では、
やはり距離への不安があったと言います。
『あ、なんか違うな』って思った
「私の場合、もともと東京マラソンの時も、月間の総合距離は他の選手ほど多くないんです。聞いた話だと、1000㎞や1200km踏む(走る)人もいる。いわゆる“今までの日本のマラソン練習と言えば、これ”というのに皆さん取り組まれていますけど、私はそこにフォーカスすると、トラックで培った動きやスピードが生かせなかった。脚を作っているだけの印象があったんです」
去年、久々にマラソン復帰を決めた新谷選手。
横田真人コーチと練習メニューを
組み立てるにあたっては、
(ほぼ)マラソン初心者の二人だからこそ、
周囲の声を聞き、なるべく結果に結びつくような
練習をする方向性になりました。
「距離を踏まなきゃいけないなら、
ある程度、距離も入れよう」。
そう決めて練習に取り組みましたが、
それは新谷選手にとって、あまり
納得できるような結果にならなかったのです。
「走る前は『あ、行けるかも』みたいな感じで考えていましたが、いざやってみたら毎日疲労に追われて、『さぁ練習しよう』という時にフレッシュな状態で取り組めなかった。大きな怪我はなくても所々痛くなり、こなすだけになってしまったんです」
「東京マラソンの練習の途中からは『距離を抑えて、動きが良くなるようにしていこう』と変えましたが、全然動きが良くならなくて。ポイント練習でもリズム良く走れない。マラソンは最後にキツくなるから、それまでテンポ良く走らなきゃいけないんですけど、それが5㎞とか3㎞でいっぱいいっぱいになる。だから『あ、なんか違うな』ってなったんです」
その学びがあったからこそ
だから、今回のヒューストンマラソンへの
取り組みで決めたのは、
「動きを崩すことはしない」
「継続できなくなるようなことはしない」の2点。
”走行距離よりスピード”=“量より質”を追求したのです。
「その学びがあったからこそ、今回は”距離を捨てる”ことができた。自分に必要ないと思えたのは、大きかったですね」
約3か月間にわたる練習の中で、
走りも生活も、自分のリズムを
キープできた新谷選手。
結果的に、日本記録更新は
果たせなかったものの、12秒差まで接近。
その練習方法が自分にあっていたことを、
証明して確信しました。
ただ「今回のヒューストマラソンまでの練習が、
誰にでもあうわけじゃない」と彼女は強調します。
「やっぱり自分に合う練習をやるべきだなと、今回すごく学びました。東京マラソンの時は、日本マラソン界が決めた練習を、全部じゃなくても抑えながら、こなしていた印象があった。それが、私たちには学ぶチャンスになって、今回の結果につながったんだと思います」
今回のヒューストンマラソンで、
自分自身で考えて、自分に合った
やり方を見つけた新谷選手。
そこにたどり着けたのは、
何よりまず、行動してやり抜いたから。
その経験があったからこそ、
成長があったのです。
文:守本和宏/ナノ・アソシエーション
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