12 モグラの手つきで——抵抗と連帯の詩学へ 白岩英樹
期せずして迎えた5巡目。来週は卒業式だ。いつもこの時期になるとシャーウッド・アンダーソンを読み返すことにしている。わたしがアメリカ文学を読み始める端緒を開いてくれた作家である。会社経営と創作と家庭のはざまで深い葛藤を抱えながら、4度の結婚と3度の離婚を経験し、アメリカの陰影をひとりで背負い込んだような人物を生涯描き続けた。
アンダーソンはもともと詩人への憧れが強かった。生前には2冊の詩集が刊行されている。しかし、発行部数から察するに、当時もいまも、それらをひもとく読者はごく