6 オフィスビルという欲望の建築の終焉 光嶋裕介
人間の生活と建築は常に密接な関係にあり、社会が大きく変化するたびに新しい建築が生まれてきた。
白岩さんの言うように、アメリカ先住民族は「大建築」を遺さなかった。だが、世界が高度に近代化した20世紀は、人間が集まって生活することを選択した時代となり、都市化が進んだ現代はまさに「大建築」の時代となった。生活の大きな部分を働くことが占め、資本を生み出す労働の場は工場からオフィスビルへと変わっていった。労働力は賃金となって分配され、モノやコトをお金で交換する経済活動が世界を覆い尽くし