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2021年7月の記事一覧
蛇足について08『懐古の蛇足』
さらに輪郭を鮮明にしてみよう。
今度はメロスをより身近な存在にしてみるのだ。
①同じクラスのメロスは激怒した
②二個上のメロスは激怒した
③思春期のメロスは激怒した
④転校生のメロスは激怒した
⑤キャプテンのメロスは激怒した
これらからまた様々なドラマが想像できる。
①は同級生のメロスである。きっと文化祭の出し物を何にするかを話し合っている時にクラスのみんながおしゃべりばかりして集中しないか
蛇足について07『輪郭の蛇足②』
今度は世代以外の蛇足をしてみよう。
①普段は温厚なメロスは激怒した
②正義感が強すぎるメロスは激怒した
③メロス(仕掛け人)は激怒した
④メロス(以下「甲」という)は激怒した
⑤メロス(2014年R-1準決勝、2015年R-1二回戦)は激怒した
⑥甘やかされて育てられたメロスは激怒した
またしても様々なメロスが見えてきた。
①は温厚なメロスからは想像できない事態であり、「あのメロスが激怒する
蛇足について06『輪郭の蛇足』
蛇足は風景を変え、想像を生む。そこから想像を広げると何かが必ず豊かになる。
そんな蛇足もいくつかの種類に分けられる。
まずは『輪郭の蛇足』である。
文字通り輪郭を作り、対象物をより鮮明にする蛇足である。
メロスは激怒した
この一文からメロスがどんな人物なのか推し量ることは難しい。激怒した事実しかわからない。
もちろん物語を読み進めていけばわかる。
「正義感がある」
「勇敢」
「妹思い」
「単
蛇足について05『(小林製薬)について』
先ほど(小林製薬)と付けたところ『メロスは激怒した』なる薬の名前になった。イライラを鎮める安定剤的な薬だろうと思われる。あるいは、超強力な殺虫剤とも考えられる。
ところでこの(小林製薬)という蛇足はどんなものも薬に変えてしまう力を持っている。
たとえばとにかく明るい安村氏のギャグ「安心して下さい穿いてますよ」。これに(小林製薬)を付けてみる。
安心して下さい穿いてますよ(小林製薬)
見事なまで
蛇足について04『他の括弧による蛇足』
まずはお馴染みの括弧から。(嘘)と(本当)だ。
①メロスは激怒した(嘘)
②メロスは激怒した(本当)
(嘘)は前文を嘘に変えてしまう。つまり①は嘘となり、メロスは激怒していない、激怒したフリをしている状態となる。
なぜそうする必要があるのか、敵を欺こうとしたのかはたまた単なる悪戯なのか。背景とその後を考えるとまた別のメロス像が生まれるのだ。
一方②は本当である。何度も「メロスは激怒した!」と
蛇足について03『括弧による蛇足』
発想には無駄が必要である。これらはセットである。
このふたつを兼ね備えているのが蛇足という行為だ。何かを追加することにより様々な風景を生み出し、さらに想像を広げていくことができる蛇足はアイディアを生み出すには最適なツールと言える。
何かを追加すると言えば、これまた高校生の頃の話になるのだが雑誌でバンドのインタビューを読んでいた時、発言の最後に
(一同笑い)
と付けられていることがあった。文字ど
蛇足について02『蛇足との出会い』
私が何かを付け足すことの魅力に出会ったのは高校生の時である。
別のクラスの友人に国語便覧を貸した時のことだ。何事もなく休み時間に返してもらい自分の国語の授業時に開いてみると何やら文字が書いてあった。川端康成の『雪国』の書き出しである「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の雪国の部分が消されてその横に『おもちゃのバンバン』と書いてあったのだ。
国境の長いトンネルを抜けるとおもちゃのバンバンで