事の顛末について 1
10年以上前からだろうか、部屋で一人悶々と西村賢太の小説を読んでた頃は、自分がそんな考えを持つなんて思いもしていなかった。
まず、西村賢太の話を人とした事がなかった。
一人暮らしの最後の方、長方形が道に沿って削れた台形の部屋101号室で「苦役列車」が掲載された文藝春秋を買って来て眺めていた、もしくはなんかのきっかけで「暗渠の宿」を手に入れた、それが西村賢太と自分について、最初の記憶かもしれない。
自分の場合、その後結婚して生活が変わって行き、西村賢太小説との関わりは変わって行くのだが、その辺りはまたいつか。
グッズがあったら買いたいと思った。
でもなかった。
まあ、ロックバンドじゃないし。
やってみっか、と思い立った。
一番最初に出した「朝日書林」Tシャツは、当然店主の荒川義雄さんに相談して、笑って許しを貰えた。
それでも7月に鶯谷、信濃路で開催した「西村賢太 生誕祭」の打ち合わせもあったので何度も朝日書林に寄らせていただいた。
平日昼間、よく自分の仕事中にアポなしで寄るのだが、会えた時荒川さんは毎度優しい。
そして基本的に、あまり朝日書林にいない。
空振りもしょっちゅう。
最近、「落日堂」グッズの話をしに寄ってお会い出来たら「よくやるなあ」とこれまた笑っていた。
今回出す「落日堂」Tシャツとバッグ、こちらは西村賢太の小説に出てくる架空の古書店。
なので現在著作権を管理している石川近代文学館に相談させていただいた。
公共の機関なのでなかなかスピーディーには返答はいただけず時間はかかった。
回答があった。
自分のような相談は初めての事だそうで、方々へ確認をしてくれたそうだ。
短い文言なので著作権侵害には当たらない、
なので石川近代文学館の立場からだと許諾も禁止もない、との返答だった。
残念ながらオフィシャルとまで行かなかったが色々と調べていただき本当に有り難かった。
自分がこんな物があったらいいなと思ってやっている活動だが、我ながら胡散臭いし怪しい(自分の風貌も 笑)。
なのに相談に乗っていただいた荒川義雄さんと石川近代文学館さんには感謝だ。
そのおかげで落日堂Tシャツと、古本屋巡りに使えそうな落日堂布バッグ、自分の娘にデザインを頼んで(だいたい一直しでチョコやらスタバご馳走)で無事作る事が出来た。
一番嬉しいのは自分だが、お好きな方々にも届いてくれたらとても嬉しい。
そして、次回も新しいTシャツなりグッズをやるつもりなのだが、そちらは次の話で。
「事の顛末について」というタイトルにしたのには理由があった。
自分がやりたいと思っている事、それはいつ(事の顛末)として終わってしまってもおかしくないからだ。
自分の気持ちが途切れたり、資金が尽きたり、嫌がられたり断られたり。
顛末にならないで欲しいとの祈りを込めて、「事の顛末について」第一回目、了である。