【選は創作なり】金子兜太遺句集『百年』後編
金子兜太さんの御宅にうかがったことがあります。今から六年前、兜太さんが九十四歳のときです。雑誌の取材にかこつけて、さまざまな問いを投げまくりました。今思えば、無謀というか、無遠慮というか。この若造め、と思われていたかもしれません。体調もあまりよくない感じでしたが、それでも一つ一つ真摯に答えてくれました。とくに柳田國男と時枝誠記について話が聞けたのは、生涯の宝物です。兜太さんが1970年に書いた論文「構築的音群」についてたずねたところ、「書いた自分でもわかんねえーんだよ」といっ