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【感想】報われない人間は永遠に報われない 李龍徳

1.あらすじ

内容(「BOOK」データベースより)
深夜のコールセンターで働く「僕」は、3000円で賭けに乗り、さえない上司・映子との模擬恋愛を始める。自尊心ばかり肥大した男と、自己卑下にとり憑かれた女。孤独だった二人の魂がようやくひとつになったとき、男は滅びはじめる…

2.感想

★★★☆☆ ジメジメとしたリアルな男女関係

前回紹介した記事の「死にたくなったら電話して」ほどのインパクトがある作品ではなく、本作はどちらかというとリアルな男女関係が描かれている。作者のあとがきを読むと、どうやら実体験ベースのようだ。

端的に現代風の言葉であらすじを説明すると、「陰キャ同志の2人が恋仲になるが、時が経つにつれお互いの嫌なところが露呈して別れる。」

映子はマイナス思考すぎて読んでいると悲しくなる。実際に存在しそうな人に例えると、匿名掲示板の至る所で悪口を書いてるような人だ。

だんだんと2人がすれ違っていく過程がリアルで、それでも別れをなかなか告げない「僕」もいて、恋愛あるあるを連想した。

2人とも共依存の関係なのだ。

最終的には別れるが、その後の2人の人生は幸せな方向に進まないように思えてしまう。

3.印象に残った言葉

◆「僕」が上司・映子に『報われた』とは何か尋ねた時の場面
ーーーー以下引用ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この人生をしっかりと噛みしめること。生きている時代のその流れに、その尾鰭に、指先でもひっかけることができてわずかでも一緒に泳げたと言えること。苦しみでも喜びでも、どっちでもいいけど、
同情だけが私にふさわしい宝石なのよ。同情の言葉をかけられるとね、なんかね、鼻の奥がむずむずして泣けてきちゃうじゃない?あれが好き。子供んときみたいで、いちいち難しいこと考えなくてよくて、あの感覚が好き

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