応援してくれる人がいて、はじめて舞台をつくることができる
みなさま、こんにちは。
関 巴瑠花(せき はるか)と申します。
普段は、会社を経営しつつ、バレエ教師をしたり、バレエ「えんとつ町のプペル」の製作総指揮をしたりしております。
バレエとかかわる人(バレエを踊る人、観る人、支える人、応援する人)が、もっともっと増えてほしいという夢に向かって活動をしております。
(詳しくはこちら)
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「えんとつ町のプペル」の原作者である西野亮廣さんが先月新刊を出され、大変話題になっています。
#発売初日に10万部の売上
#現在15万部
その新刊のタイトルは『夢と金』!
だいぶセンセーショナルなネーミングですが、西野さんは「お金が尽きると夢が尽きる」とおっしゃっていて、夢を叶えるためにお金を稼ぐ必要があるとおっしゃっています。
私は現在、2023年9月に上演されるバレエ「えんとつ町のプペル」の製作を進めておりますが、完全な新作で、音楽・舞台セット・衣裳など舞台を上演するために必要なものは全て0から製作をしているため、こちらの舞台の総製作費は約1億円です。
バレエ「えんとつ町のプペル」は、子どもたちに「あきらめない心」をこのバレエ作品を通して届けたい!という想いからスタートしたプロジェクトです。
それ以外にも、
日本にいるバレエダンサーが、アルバイトをしなくてもバレエダンサーの仕事だけで食べていける世界になること。
バレエダンサーが副業を探さずに、踊りに専念できること。
ダンサーにチケットノルマがなく、心から出演を喜べること。
バレエを習う子どもたちが、「食べていけないから」と将来の生活を心配せずにバレエダンサーを目指せること。
という夢があり、そのための公演でもあります。
しかし、これらの夢を叶えるための舞台をつくるには、当たり前ですが常にお金の問題と隣り合わせです。
製作費をチケット代だけで賄おうとするには無理があり、別のところでも資金繰りをしなければなりません。
その1つが、プロセスエコノミーです。
現在、製作過程をリアルタイムで公開していっているプペルバレエの応援Facebookグループには2730名程の方々が参加くださっています。
プロセスエコノミーの1つの取り組みとして、昨年2023年の5月には、オーケストラによる音楽収録のリハーサル見学権を販売させていただきました。リハーサル見学には、Facebookグループから100名近くの方がいらしてくださり、アーカイブ配信含め100万円程度の売上がありました。
舞台の製作費は多額なだけでなく、公演の前に支払わなければならない額も大きいです。しかし、アウトプットエコノミー(完成品で売り上げを立てる)では、公演後にしか売り上げが立たたないため、公演前に支払う費用は主催団体のみでどうにか工面するしかありません。
少なくとも私の会社は1億円を痛くもかゆくもなく出せるような会社ではありませんので、もしアウトプットエコノミーだけで舞台を成立させるとしたら、舞台製作へかけられる費用はもっと減らさざるを得ません。
つまり、予算の少ない舞台になり、舞台セットなどどれも簡素にせざるを得ないのです。
しかし、プロセスエコノミーとして製作過程でマネタイズしていくことができれば、この費用を製作費に充てることができます。結果的に、アウトプットエコノミーよりも製作費として使える金額が大きくなり、クオリティの高い豪華な舞台を作ることができるようになります。
もちろん、いくら製作過程とはいえ、お金を払うに値するものを提供するわけですが、その世界にどっぷり浸かっていると、外から見たときにはとても魅力的なものが、当たり前のこと過ぎて「お金をもらうほどのことじゃない。」となったりもします。
実際、オーケストラの収録リハーサル見学も、オーケストラの方々は「練習の様子なんて見たい人いるの?」と最初は半信半疑の様子でもありました。
しかし、観にいらしたお客様は、
「音楽が創り上げられていく様子がみられて、とても楽しませてもらいました」
「指揮者さんの一声でこんなにも演奏が変わっていくとは知らず、感動いたしました」
「プロのやり取りを間近で見ることができ、興奮でした!」
など、オーケストラの“練習風景”に大感動してくださっていたんです。
リハーサルの最後の方には自然と客席から拍手が湧き起こり、オーケストラの方々は、「まさか練習風景で拍手が来るとは思わなかった!」と喜んでくださいました。
製作過程を公開したことで、演者、観客、制作の三者にWinが生まれ、三方良しの環境をつくることができました。
現在は、(バレエの)リハーサル見学権を出させていただいております。
「舞台じゃないのに観たい人いるの?」
「本番の楽しみが減ってしまうのでは?」
という声もありました。
しかし、リハーサル見学に来てくださった方々が回答してくださったアンケートを拝見すると、満足度は皆様最高評価をつけてくださり、「本番への期待度」に関しては、こちらも皆様、『楽しみが増した』と回答してくださっています。
製作過程というのは、振付家さんがどうやって振付を渡していくのか、プロの踊りが磨かれていくってどんな感じなのか、など、その時代のその瞬間でしか立ち会うことができないため、製作過程でしか得られない体験があります。それを提供させていただくことで、収益を得る。
それを制作費に充て、よりクオリティの高い舞台を製作し、ダンサーや作品に関わってくださった方々に還元をする。
まだまだ浸透していないかたちですので、昨年は、私の発言から「ビジネス臭がする」と炎上したこともありました。「バレエで金儲けするなんて!」というお言葉がたくさん届きました。
私は、バレエダンサーが誇りを持って良い踊りをするためにも、スタッフが思いきり仕事をするためにも、ビジネスとして成り立つ興行をする、というのは、バレエ界の課題であり夢だと思っています。どこでどのようにマネタイズするか考え続けなければ、夢は叶えられません。手探りではありますが、いろいろな方法を模索し試行錯誤しながら走り抜く覚悟です。
そして、その試行錯誤も、バレエ団ではない私のような一個人だからこそ、できることがあるのではないか、とも思っています。
もちろん、製作過程を見てしまうことで、完成品の楽しみが奪われると感じるお客様もいらっしゃるでしょう。しかし、製作過程を見るかどうかはご自身で選んでいただくことができます。リハーサル見学をしないだけでなく、製作過程を公開している媒体にアクセスしない選択もあります。映画のネタバレを見ないで映画館にいけることと同じです。製作過程を公開することは、完成品を楽しみにしているお客様を減らすことなく、新たな需要を生み出しているとも言えるでしょう。
プロセスエコノミーを取り入れることで、完成品だけを見たい方にも製作過程も見たい方にもどちらの需要にも応えることができるのです。
私は、このプロジェクトをはじめてからさらに、ダンサーや振付家、スタッフの皆さんを尊敬してやみません。(皆さん、本当に素晴らしいんです!日々感動です!絶対見てほしい!)
実はリハーサル見学権をもう少し安くしてくれたら観に行きたいというお声もありました。しかし、未完成なものを見せたいはずのないダンサーや振付家たちが協力してくれているのです。リスペクトの気持ちを込めて、安売りはしない!と、決めました。どうぞご容赦いただけますと幸いです。
ありがたいことに、プペルバレエの応援Facebookグループ(現在2730名)の中には「寄付をさせてもらいたいけど、どこに寄附したらいいか」とご連絡をくださった方々もいらっしゃり、『プペルバレエを応援!』という投げ銭や、『コーヒーの差し入れ権』として会議などの飲み物代の寄附をいただいております。コーヒーの差し入れに関しては、2ヶ月で70杯もの寄附をいただいております。(本当にありがとうございます!)
スタッフ陣の度重なる会議があっての舞台ですので、飲み物のご支援とてもありがたいです。
昔もパトロン制度があり、応援してくれる人がいたからこそ舞台が上演できたように、今の時代もやはり応援してくれる人がいて、はじめて舞台が上演できるんだなとつくづく実感しております。
応援くださっている方々に心から感謝を込めて。
9月23-24日のプペルバレエの舞台は、ダンサー、スタッフ一丸となって必ず良い舞台をお届けします。
皆さま、ぜひ観にいらしてください!!
関 巴瑠花(せき はるか)
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