三二章 Grand prix Mutuelles de France Stage1落車
今回のレースはエリートと混走でフランスでは初めての経験となった。またチームスポンサーであるGiantのニューバイクで走ることになった。Stage1ではフランスネイションズカップに向けて逃げに乗ることが目標。
スタートが切られ前回のJrレース(MAPEI Clasic)より集団密度が低い気がした。とは言っても日本とは比べ物にならない。レースの進み方も日本とは別のスポーツのように違かった。
どのように違うのか、文章で表現したいところだが自分の表現力の低さからなかなか文面に変換できないので今後に期待してほしい。泣(一番早いのは経験することだと思う。丸投げ笑
序盤から位置取り合戦が始まる。恐怖感はなかった。3人の逃げが形成。その次に2人の逃げが形成。更に1人ブリッジしたそうな選手がいた。その選手の後ろに着いていたら勘が的中。足を使わずに前の2人と合流できた。登りで先頭3人と追いつき5人の逃げになった。しかし程なくして集団に吸収。
集団は一番の難所、標高差600mほどの山に向かっていた。前は中切れを起こしていた。しかし中切れを埋める脚もなかった。日本と違うのは後半にかけてペースが上がるのではなく山の麓からペースオーバーで登っていく。山の頂上ではオールアウト状態だった。山の頂上で第二集団にいた。
集団で峠の下りをかっ飛ばしていった。自分は下りが得意だ。なんの恐怖もなく60km/h越えで降っていく。視界の悪い一本道で速度を出せば体感速度は異常に
速く感じる。そして幅2.5cmしかないタイヤに命を預けないといけない。常に死と隣り合わせである。
このまま下れば第一集団と合体できるかもしれない。そんなことを思っていた。
その時自分は集団の先頭で降っていた。ブレーキをかけ始める。同時に今までになく脳内が混乱していた。前ブレーキか後ブレーキのどちらが効いているのかわからなくなった。パイロットが一時的に平衡感覚を失う事があるらしいがそれに似た感覚だと思う。(空間識失調)
それほど重要でないと思うかもしれない。しかしスリップを防ぐ為にいつも自分は前ブレーキを気持ち強めに効かせている。しかし新しいバイクになってから左右のブレーキが逆、リムとディスクとでも違う環境だった。時速は60km/hを越え考えてる時間はなかった。(コンマ0.何秒かはあったかもしれないが)
先に後輪が滑りだした。もう訳がわからなくなっていた。少し減速はしていたが明らかに間に合いそうになかった。「終わったと思った」そのままオーバーラン。そこからあまり記憶にないが崖に落ち2m程落下した。幸い棚田のような土地だったので柔らかい芝生のおかげで軽傷で済んだ。暫く目眩のような物が続いた。自分の頭ではすぐに復帰して走り出さないといけない、そんなことを考えていたがなかなか起き上がれなかった。程なくして立ち上がり(と言っても1分くらい時間がかかったのかもしれない。)再び走り出した。脳震盪がなくバイクも無事だったため走り出す事ができた。
首の痛み、肩の痛みがあった為思うように踏めなかった。第3週団に吸収され流れのままゴールした。
のちにチームマネージャーが無線の状況を教えてくれた。悲鳴を上げていたと言っていた。幸い軽い肩、首の打撲と肘の擦過症で済んだため4時間後の第2ステージに向けて休んだ。
Stage2に続く。