別れ際まで
4年間、お世話になった土地から引っ越した 関仁 です。
この部屋には3年強、住んでいました。
今日は部屋の退去日であり、燃えるゴミの日でした。
昨晩の日本酒は残ることなく、朝早くから目覚めました。
スマホの時間を見たときに、昨晩の料亭での集合写真がLINEに送られて来てました。
会社の同僚から、
…そんな関さんが大好きでした!
のメッセージが。
私も大好きな人だったので、そんな方からの胸アツメッセージに朝からテンションが上がり、とても良い目覚めでした。
部屋中に雑然と置かれたモノたちをカバンや籠に詰め込みながら、一度惜別するモノはゴミ袋へ。
そんなことをやっていたら、ゴミ袋が足りなくなり近所へ買い出しに行き、さらに捨てていきました。
最終的に残ったモノを車に詰め込んで行き、そこで入り切らないと分かったので、さらに手放すことに。
午前中に不動産屋さんが来るー!と焦りながらも荷物詰めと片付けを無事に終え、一息つくことができました。
掃除は自動お掃除ロボットにお任せし、障害のない部屋を心ゆくまで動き回ってもらいました。
その間、荷出し作業中に顔を合わせたので挨拶したアパートの住人の方がチャイムを鳴らして来てくれました。
そのときもらったのが、写真の食べ物たちです。
私からは何も用意してなかったので、恐縮でしたが餞の言葉と共に有り難く頂きました。
また、別の住民の方も訪問して下さり、ゴミとして出す予定だったカラーボックスや風呂のフタを、知り合いが一人暮らしを始めるのでもらってもいいですか? と尋ねられました。
もちろん、喜んで引き取ってもらいました。
まだ使えるモノだったので、捨てるだけでは勿体無いなと思っていたのでとても有り難い申し出でした。
そんなこんなで午前中が終わりそうになり、
あれ? 立会は?
となり電話で確認してみると、13:30〜 だったことが判明。。。
嗚呼、知ってれば、昨日の晩はもう少し飲めたかな。とも思いましたが、ゴミ出し時間に間に合わないし、こんなに余裕を持って部屋を見つめる時間も無かったな。
と思い立ち、浮いた時間で友人にラストランチを申し出ると快諾。
御用達のイタリアンバルへ行きました。
本日は、小松菜の和風パスタを!
ガーリックが効いてて美味かったです。
食後、公園にて記念撮影をして解散。
近くまで来たので、この土地で親しくしてもらった市役所の方ともお会いし、再会のニュアンスを残す別れの挨拶を交わしました。
ぎゅうぎゅうに詰め込んだ車を走らせ、我が部屋へ。
お掃除ロボットは活動を停止していました。
そして、部屋は隅々まで綺麗に!
ドッグパークに放たれた犬よろしく部屋中を駆け回ってくれたのだろうと感謝して、車に詰め込みました。
時間通りに不動産屋さんと会社の人の立ち会いを済ませ、壁に穴を開けてしまったことも伝え、請求をお願いしました。
会社の方と最後の挨拶をすると、
オレ、関くんのこと好きだったんだよね。だから別れるの寂しいなー。
と言ってもらえて、嬉しいなー。と思ってたら、
御餞別と書かれた封を差し出され、
え!? 同じチームでもないのに!?
と驚きましたが、好きな人への餞をしたいという気持ちを有り難く頂くことにしました。
私も好きな先輩だったので、予想外の出来事が嬉しかったというのもあります。
そんなこんなで、最後まで住人の方からも会社の方からも御心を運んでもらった日でした。
そういえば、餞別をたくさん頂いた同じ階に住んでる女性の方から、「写真を見せたくて!」と言われ何の写真だろう? と思って待ってたら、小さな雪だるまが廊下のヘリに佇んでいる写真をスマホで見せてくれました。
「これ作ったのって、お隣さんですよね?」と。
そう、この雪だるまは、この土地では珍しく雪が積もるくらい降って、嬉しくなった私が共用廊下のヘリに積もった雪を使って、手のひらに乗る程度の大きさで作った、それでした。
ただ寒いだけよりも、季節感があって良いんじゃ無いかと思い、共用廊下にそのまま置いていました。
「可愛くて、思わず写真を撮ったんですー」と笑顔で言ってもらえて、何気ない自己都合の思いやりが誰かのちょっとしたハッピーになったんだと思ったら、くすぐったい嬉しさが湧いて来ました。
土地は好かなかったけど、人は良い場所でした。
最後に心底、気付けて良かったです。
日記として、もうひと出来事だけ。
ひとまず実家へと向かう道中で、お土産を買おうとスーパーに寄りました。
そこでお土産を買い、駐車場を歩いていると作業着のお姉さんに声をかけられました。
どうも車用の洗車スプレーなどを販売しているようで、サイドミラーを試しに磨いてくれるとのこと。
バックミラーがかなり見えにくくなってるから、サイドミラー頼りで運転することになりそうなので、やってもらおうと思い、お願いするとめちゃくちゃ綺麗になり輝いたのです。ライトの黄ばみも落とせるということでやってもらうと、これまた綺麗に仕上がるのです。
さっきまで散々モノを減らしたばかりなのに、お姉さんのクリーンナップサービスも合わさり、買うことにしました。
レジまでの道中、話してみると出身が宮城県の県北で福島県にも住んでいたことがあるそう。
仙台に暫く住もうかと思ってることを伝えると、仙台周辺のオススメの神社や城を教えてもらいました。
なんと、お姉さん自身が甲冑を着てお城のイベントに参加することもあるそうで、地元のこともイキイキと話してくれました。
これから行く場所の情報を旅立ちの場所で聞くとは思ってなかったので、良い帆が立っている気がしました。
明日は転入届を出しに行きます。
変化が音を立てて迫って来ている気がしてます。
それでも自分らしく在るようにしたいし、小さなことで誰かをちょっとだけハッピーにしたいです。
2022/3/25
せきひと